第5回新宿ケアフロンティア
新宿ケアフロンティアとは
新宿歌舞伎町を拠点にする新宿デイサービスは
地域で高齢者を見守る、新宿の福祉を盛り上げたいという思いを元に
誰でも参加することのできる「新宿ケアフロンティア」という勉強会を月に一度開催しています。
第5回新宿ケアフロンティアの講師
12月25日に行われた第5回新宿ケアフロンティアは、
社会福祉法人「新宿区社会福祉事業団」の理事長である濵田幸二さんにお越しいただき、
「事業団を取り巻く経営環境~地域共生社会の担い手としての役割~」
という内容で講演をしてもらいました。
社会福祉法人「新宿区社会福祉事業団」は、「安らぎと心豊かな暮らし」を提供することを経営理念に掲げ、お客様が安全で安心できる施設で必要なサービスを受けることで、日々の平安を享受し、心の安らぎを得られる経営を追求しています。
また、お客様が「その人らしく、生き生きと暮らせるサービス」を提供することを目指すことを基本目標とし、特別養護老人ホーム(かしわ苑)やデイサービスなど、様々なかたちで高齢者の方々とご家族に寄り添い、支援やサービスを提供しています。
新宿区内の3か所の「高齢者総合相談センター」の運営もしていて、役所と民間企業の中間的存在として存在しています。
設立30年、新宿区社会福祉事業団の課題は大きく分けて2つ
1,人材確保と育成
新宿区社会福祉事業団には、正規社員とパートさんがおおよそ100名ずつ在籍していますが、パートさんの離職率が高く、この離職率の低下が課題となっています。そのため職員の人材育成が特に重要となっていて、職員が仕事に当事者意識を持つことが求められています。
新宿デイサービスの職員は6名と少ないので、それぞれが役割を持ち当事者意識をもって日々仕事をすることができています。しかし、その30倍以上の人数であると考えると、コミュニケーションをとるだけでも難しく、一人ひとりが当事者意識を持つことは相当難しいことだろうと想像できました。
2,「役所と民間の中間的存在」として「現場や地域の言葉」を吸い取る
新宿区の特徴は、独居高齢者や若者が多く、子育て世代が少ないです。また高齢者のご家族が区外に住んでいるケースが多く、在宅生活が困難な状況です。
下町気質で町会が多くコミュニティが活発ですが、一方でオートロックのマンションが多いため情報提供が難しく、特に紙媒体では情報が届きにくいという現状です。
独居の高齢者が孤立しないよう、高齢者クラブや町会、施設や医療機関などが連携して支えていくことが重要です。
参加者からの質問
1,現場や地域の声をどのようにキャッチすればよいか
重要なのは一番身近な民生委員の方や町会との接点を持つことです。
新宿区の高齢者総合相談センターでは、月に1回情報交換をしているので、高齢者総合相談センターに行くのも1つの手です。
また、議会の情報はネットでも見ることができます。令和6年度の予算は3月に見ることができます。
ポイントは区からの情報をキャッチすることでだそうです。
2,「介護施設の経営状況や収益を上げる方法」について
新宿区での経営は、手当や補助がないと相当難しいのが現状です。
加算をしっかりとることで収益につながり、また利用者の方はいろいろなサービスを受けられるので集客にもつながります。
長年施設を運営していると、ケアマネージャーさんを通さずに問い合わせが来ることもあるそうです。
新宿デイサービスは開設してまだ5年です。
新宿区の皆さんに認知され、直接ご相談が来るよう努力したいと思いました。
3,「外国人高齢者の受け入れや外国人職員の状況」について
外国人高齢者や外国人職員の受け入れは進んでいますが、言葉の壁があり情報提供が難しくまだまだ課題がある状況です。
こちらについては、11月に講師として来てくださった大久保高齢者総合相談センターさんも課題であると言っていました。
その他、新宿区社会福祉協議会には多文化共生の窓口があり、そこで情報を入手することができます。
4,子育てや介護をしている人とそれ以外の人との隔たりを感じる
現在は隔たりを感じるかもしれませんが、町会や消防、民生委員等地域全体による互助が重視されていて、それが世代間の隔たりも解決するでしょう。
前回の勉強会でも話題になった互助について再確認してみましょう。
現状、行政の予算は厳しく拡充は見込めないため、共助及び公助は期待できないようです。
現在は各地域に異業種交流の場が設けられていて、新宿地域では「新宿ネットワーク会議」がそれにあたります。
新宿デイサービスも、参加させていただいています。
まとめ
濵田さんのお話から、役所と民間の繋がりを知ることができ、また地域の課題解決のために我々が取り組んでいく道筋がより明確に把握できました。
重要なポイントは、
1,職員1人ひとりが当事者意識を持つこと
2,地域とのつながりを持つこと
3,区の情報をキャッチすること
4,互助を活性化させること
横のつながり、縦のつながりを重視し、高齢者が安心して在宅生活を継続できるよう努力したいと思いました。
特に、現場だけではなく役所とのつながりを大切にし、一緒に課題の解決に取り組むことが重要であると気づくことができました。