MILGRAM 第一審/ムウ「アフターペイン」考察
こんにちは。桜小路いをりです。
今回は、「MILGRAM」の第一審MV、ムウの「アフターペイン」の考察をしていきます。
ムウのMVには、「いじめ」のシーンの他、明確な「犯行」のシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
また、MVの内容上、「いじめ」に関する話題に触れます。予めご了承のうえ、お読みいただけると嬉しいです。
ムウについて
まずは、ムウこと楠夢羽の人となりについて
ムウは、日本人離れした、透明感のあるハーフの美少女。
思ったことはハッキリ言うタイプで、ミルグラムの状況にも反発しています。所作に育ちの良さがにじみ、裕福な家庭に生まれたことを想像させますが、そのせいかプライドが高く、すぐに涙ぐんで弱音を吐きがちです。
ムウの誕生日は7月5日、誕生花はラベンダーで、花言葉は「沈黙」「私に答えてください」です。
私は、ムウに「お嬢様気質」な印象を抱きました。自分を中心に考えること、あえて嫌な表現を使うなら「自分本位」なのにそれを自覚していないようにも思います。
歌詞について
歌詞にもMVにも通じるのですが、ムウは「自分が同情されやすいように自分の心象風景を切り取っている」ように思います。
予め、それを念頭に置いて読んでいただけると嬉しいです。
ここの歌詞を切り取ってみると、まず、ムウの育ち、裕福な家庭環境、自分中心の思考から見て、「私はいらない」という言葉は本心ではないと推測できます。
一方、ここの歌詞は「本心」だと思います。
MVでもきちんと触れますが、ムウは、かなり壮絶ないじめを受けていたからです。「つらかった」「助けて」という言葉には納得できます。
ただ、少し引っかかるのは「ごめんの魔法」というフレーズです。
「ごめんなさい」と泣いて謝れば赦される環境にいたのではないでしょうか。
この部分では、ムウの歌声が少し低く、囁くような感じになっていてドキリとしました。
これは、もしかしたら、いじめられている最中に常に口の中でつぶやいていた「呪詛」めいた言葉なのかもしれません。
また、ラスサビのこの部分。
「『ごめんなさい』‘’は‘’届かない」というフレーズは、「私の『ごめんなさい』はあなたに届かない」という意味。
そして、「『ごめんなさい』‘’が‘’届かない」は「あなたの『ごめんなさい』が私の耳には聞こえない」という意味になると思います。
ところどころで、甘く可愛らしい印象の歌声から、地声に近い声に変わるのも、「闇」や「陰り」を感じずにはいられません。MVでは、ムウの陰りの部分にも触れていきます。
MVについて
まず、MVの中でも印象的な、砂時計の中に入っているムウ。
砂時計は「愛」や「友情」「幸福」の象徴だそうです。
しかし、ポイントなのは、それが「外から見た砂時計が象徴するもの」であること。
ムウのように、「砂時計の中」に入ってしまえば、その見方は鏡の中と外のように反転するのではないかと思います。
ムウへのいじめは、いじめっ子たちの「友情」や「幸福」のためにある行為だったのではないでしょうか。ムウを全員でいじめることで、友達との団結を感じているのだと思います。
また、このMVには、女の子しか出てきません。ムウが通っているのは、制服の雰囲気からも、お嬢様学校だと推測できます。
そして、MVの中でムウにスマホを向けて笑っている2人の女の子(1分7秒くらいです)と、最後にムウに刺される女の子。
彼女たちは、1分53秒辺りに映る、スマホの画像の中の女の子と同一人物に見えます。かつて、ムウと仲良くしていたメンバーだったのではないかと思います。
ムウは、自分を直接的にいじめた女の子ではなく、いじめられたムウを見て去っていく女の子を殺めてしまいます。
これはかなり穿った見方のように思うのですが、ムウの誕生花・ラベンダーの花言葉は、いずれもムウの嫌いなものなのではないかと考えました。
つまり、「自分の問いや言葉に対して沈黙されること」が嫌いで、「『私に答えて』と自分で問い詰めること」が嫌なのではないでしょうか。
直接的ないじめよりも、自分の存在を無視したり、問いかけに反応を返してくれないことに、苛立ちを感じるのだと思います。
もしかしたら、ムウの両親は、ムウが悪いことをすると、怒るのではなく無視するのではないでしょうか。
その時の恐怖感や孤独感がムウの心に根強く残っていて、それがフラッシュバックした末の、衝動的な犯行とも言える気がします。
ムウの犯行の瞬間の表情、私は、殺意だけでなく、恐怖の色が浮かんでいるようにも見えました。
もし、そんなトラウマがあるとするならば、それはムウの性格にも影響している気がします。
まとめ
今回、考察に難航してボイスドラマを聴いたのですが、ムウへの印象がかなり変わりました。
全体を通した私の印象は、エスを対等に見ていない、ということ。エスは看守であり審判を下す側なので、もちろん対等でないことは確かですが、ムウは明らかにエスを見下している印象です。
華やかで目立つ容姿が嫉妬の対象になり、さらに自己中心的な性格が災いしてしまったのかな、とも思います。
一方で、あくまで傍観者であった女の子を殺してしまったのに、「自分は悪くない」という姿勢を崩さないことにも違和感を覚えました。
可愛らしい歌声の中に垣間見える闇といい、必死に考察してもまだ謎が残るばかりです……。
次の私の「MILGRAM考察シリーズ」は、個人的に超・悩み中のシドウなので、また気合いを入れて考察していきたいです。