Ayaseさん「夜撫でるメノウ」が描く、優しすぎる別れ
こんにちは。桜小路いをりです。
寒くなると、なんだか物悲しい気分になってしまいますが、そんな時は、つい切ない雰囲気の楽曲を聴きたくなります。
今回は、Ayaseさんの「夜撫でるメノウ」について、私の考えたことを綴っていきたいと思います。
以前、「Ayaseさんの歌詞には優しさが溢れている」という記事でもご紹介しましたが、「夜撫でるメノウ」では、優しすぎる別れが描かれています。
主人公は、「君」への想いを懸命に言葉にして伝えていました。でも、「君」はそれを正確に受け取っていなかったのか、それとも重く感じてしまったのか。「二人で過ごした日々を美しく思えない(=無意味なもの)」と感じてしまったのでしょう。
そんな中で、主人公が言うのは「元気でね」というひと言です。
「君」が見据える未来の幸せを願うような、さりげないようでいて力強い言葉ではないでしょうか。
この歌詞の少し前に、いつもと様子の違う「君」の姿と、「わざとらしく萎れた空気」というフレーズがあります。
もしかしたら、別れを切り出したのは「君」のほうで、だからこそ、「君」は隣を歩くことが居たたまれないのではないでしょうか。
別れなければならない、特別な事情があったのか。それとも、二人の間の自然な成り行きなのか。別れの理由は分かりません。もしかしたら、「君」に全く非があるのかもしれません。
それでも、自分のこれまでの行動を責めてしまい、「ごめんね」という言葉すら「遅すぎる」と思ってしまう主人公。
恨む言葉はひとつもなく、その優しさに胸が詰まります。
軽やかな曲にのせられた、切ない歌詞の中にある「笑ってよね」というひとこと。
聴くたびに胸が締め付けられそうになります。
主人公は、「君」との最後の思い出に、「君」の泣き顔を残しておきたくないのではないでしょうか。
「君」は涙ながらに、別れることになったことを謝罪をしたのかもしれません。あるいは、主人公との色々な思い出が込み上げてきて、涙を浮かべたのかもしれません。
それでも、「笑って、笑ってよね」と言う主人公。もしかしたら、最後の最後の、優しすぎる「いじわる」だったのではないか、と私は思いました。
この曲は、最後こんな歌詞で終わります。
Ayaseさんの水のような優しい声で歌われるからこそ、切実なフレーズです。
「夜撫でるメノウ」という題名に入っている「メノウ」は、宝石の「瑪瑙」のことだと思われます。
「瑪瑙」の石言葉は、「長寿」や「健康」。
「調和」や「繁栄」なども意味し、親子愛や兄弟愛を象徴するものでもあります。
この曲の歌詞は、家族、友人、恋人など色々な関係の人に当てはめて聴くことができるので、「メノウ」の石の意味も、思い浮かべる人によって変わっていくのではないでしょうか。
恋人ならば、「自分のいない未来でも、あなたが末永く元気でいますように。」
友人ならば、「いつまでも身体を大切に、あなたの人生が輝くものでありますように。」
家族ならば、「周りの人や、将来家族になる人と元気で。」あるいは「離れていても、家族の絆は消えない。」
この曲のサムネイルが寒色系でまとまっているので、「青色の瑪瑙」の意味を調べてみました。
大まかな意味は一般的な瑪瑙と変わりませんが、「トラウマの解消」や「正しい選択へと導く」などのパワーがあるそうです。
ペンダントか、ブレスレットか、それとも、お守りとして持ち歩く石なのかは分かりません。
でも、主人公は「君」と別れた後、一人になった夜の街で、密かにメノウを撫でて、「君」の未来を祈ったのだと思います。
みなさんは、「夜撫でるメノウ」について、どんな感想をもちましたか?
この記事が、みなさんの新たな発見に繋がれば幸いです。