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家族と一緒にネパール旅行-11
荷台で揺られながら着いた場所は広い敷地の宿泊施設。複数の建物からなり平屋が多く、マックス二階建てまで。どうやら用途ごとに建物が分かれているようです。
聞いてみればここまで連れてきたくれた彼はサンカルさんと言い、ホテルのオーナーではなく雇われ勧誘兼ツアーガイドのようで。
どうりでホテルを経営しているには若いはずだわ。
とりあえずホテルのリアルオーナーさんと安すぎる宿泊費は本当なのか確認してから、部屋を見に行きます。
へぇ、これで本当に300円?
部屋はある程度の広さがあり、ユニットバスも含めて清潔感があります。たぁパパ、ママの部屋も似たような作りで、みんなでOKサイン。
チトワンでの滞在はここを利用することにしましょう。
部屋に荷物を置くとサンカルさんは私たちを一つの小屋へと案内します。
中に入ると壁に描かれた大きな国立公園の地図とツアー概要があって、「ここからが本当の僕の出番!」とばかりに台の上に乗った彼は、指示棒片手に大きなリアクションと合わせて説明してくれます。
「ツアー客が多いから公園の入り口付近には動物が少ないんだ。見られてもサルとか鳥ばかり。だけど奥のほうへと行けばベンガルトラやサイにも会える可能があるよ」
だけどそうすると一日がかりかそれ以上かかるというので、他の体験も楽しみたい私たちは以下のようなプランを組みました。
早朝:象サファリ
昼:カヌーでの川下り
午後:ジープサファリ
予定が決まれば、やっと解放されます。
するとアニルさん夫婦とサンカルさんの間でなんだか話がもたれ、アニルさんから一言。
「僕たちは違うホテルに泊まります」
あっ、そうなのね。
さすがに今日は家へとは帰らず、一緒に旅を続けるらしい。とりあえず余計なことには口を出さずに、彼らに任せることにしよう。
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周辺にはホテルが並び、近くの宿のベランダにはびっくりするものがいつくもぶら下がっています。
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「ねぇ、あれってスズメバチの巣じゃないの?」
「そうだよ」
昔は山の中に住み動物や虫に詳しいたぁに尋ねると、思っていた通りの返事が返ってきました。
「それって危険だよね」
だって、結構な大きさのものもあるよ。
「うん」
あの部屋に案内されたらドアも開けられないし、たまったもんじゃないね。
バスでの長距離移動に疲労はあるものの、まだ日が明るいのでちょっと村を楽しみましょう。
道をまっすぐ進んでいくとちらほらと露店やお店が立ち並び、人も増えてきます。その先に川が見えてきました。
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そして川沿いに並ぶたくさんのサマーベッド。そこには多くのヨーロピアンの姿があり、ビールを楽しんでいます。
みんなの目線の先にあるものは・・・・・・。
「おぉ~」
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ギリギリ、今日最後の顔を見せてくれている太陽さん。
「ここでゆっくりしよう」
「賛成っ!」
ちょうど横並びできる席を見つけて腰掛ければ、いつでもお客さんの到着を待ち構えているウェイターさんがやってきます。
「ビールをお願いします」
忙しい日、あえて誰とも口を利かずに川と沈みゆく夕日を眺める優雅な時間。
たぁはただただその景色を眺めていますが、私はのんびりしつつも、いつもは目にすることはないチトワン村の風景や休んだり騒いだりしている観光客、そのなんでもない場面に一人興奮しながら川を見てはウロチョロするのでした。
太陽が完全に沈めば雲がオレンジ色に色づき、次第に暗くなっていきます。
「ご飯食べに行きますか」
近くに青く塗られたちょっとオシャンティーなレストランがあったのでそこに行くことに。アニルさんご夫妻に習い、みんなでネパール国民食の「ダルバート」を注文します。
思い思いにこれまでの旅やこれからのこと、ネパールでの生活や、天然石の話などをしながら、食事が到着するのを待ちます。
その時にアニルさんたちがチトワンで宿泊する宿について聞いてみると300円でも安いと思ったのに、それ以上に安い場所が近くにあって、そこを利用するのだとか。
いい場所であることを願います。
飲み物は注文後すぐに届き、気づけばなくなっていたのでもう一度オーダーします。
待てども待てども食べ物がやってこない。
「食べ物はいつきますか」
「もうすぐです」
その言葉を信じてもなかなか来ず、同じ時間ほどに店に入った若いヨーロピアングループは文句を言って出てきました。
気持ちはわかる。
私もそうしたい。
だけど勝手には動けない。
結果、注文してから一時間以上たってようやく出てきました。
待ちに待ったダルバートは野菜も多くてそこそこのお味。
だけどそこそこすぎて、待った甲斐はないと言える。
すごいな、この国。
幸せの中に、必ず懲り懲りをぶっこんでくる。
※2010年11月18-12月4日にたぁ両親とともに訪れたネパール旅行記です。
これまでのお話
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