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家族と一緒にネパール旅行-06

ホテルのレセプション、レストランを兼ねた建物の前には広場があり連なる山景色を楽しめます。

部屋はコテージになっていて段々畑のような階段ごとに一室ずつ設けてあり、中はシンプルながらも木の温かみを感じる素敵な作りです。

荷物を置いてから、広場へと行くと既にたぁ両親はテーブルに座り、ビールを楽しんでいます。周りには誰もおらず、広がる景色をただただ楽しむ。

他の人がいない家族だけの時間。黙って景色を眺めるたぁとは異なり、ママからは不満が漏れます。

「バスだって言われたのに、小さなバンにぎゅうぎゅうに詰められてひどいツアーだわ」

確かに不満は顔に出ていたけど、はっきりと口に出されるといい気はしません。だってツアー代金は日本と比べればダントツに安いし、急に「今日、行きたい(とは私たちは言っていないけど)」と言ってすぐに用意してくれたんです。それに家族と二人の友人だけのためにバスが出るとは思えません。
さらにこのホテルの人はチベット系で、とても親切に対応してくれているし、早朝ツアーの金額も吹っ掛けようとはしませんでした。

「こっちの人だってがんばって用意してくれたんだよ。ひどいとか聞きたくないよ」

「のんはそう思わないの?」

たぁパパがママに応戦します。

「思わないよ。だってもしバン見て嫌だったのなら、その場でキャンセルすればよかったじゃない」

すると二人は黙り、話がぶり返されることはありませんでした。


広がる山景色をビールの酔いに任せて眺めていれば、気持ちにゆとりが戻ってきます。

「町をお散歩してみようか」

いいねっ。

リードに縛られることなくうろちょろするわんちゃん。

人を警戒することなく、のんびりとあたりを歩いているだけで癒されます。

ホテルの入り口の傍にはミサンガや手作り小物を売っている露天のおばちゃんがいます。いろいろと見るように話しかけてくれるけど、うるさくないし、しつこくありません。

このくらいが丁度いいし、気が向けば買おうという気が起きるというものです。


ホテルのレセプションの建物も同様ですが、町の建物はレンガ造りがメインです。

ナガルコット盆地町はいかにも“ザ・ど田舎”で、時間に囚われることなく十分な空間を与えてくれ、周辺を見て回るだけで自然と笑顔が漏れてきます。ただ標高が高く坂道が続くこともあり、息切れはしやすいですが。


上へと昇っていくと広い敷地の中に立派な建物があり、そこがホテルだと知ります。他にもいくつかの宿泊施設があるのですが、そう多くの外国人に出会うことなく散歩を楽しむことができました。
レストランでも見つけられればと思ったのですが、残念ながらそれは叶わず、夕食は宿でいただくことに。

日差しが強い日中は半そででも歩けるのに、暗くなれば一気に寒さが身に沁みこみ、暖かいスープが胃に染みておいしい。


夕食後、両親と別れてから部屋に戻り、体を綺麗に、そして温めるためにシャワーを浴びます。だけど待てども待てども出てくるお湯はぬるい。

熱くない・・・・・・。

体から熱が奪われながらもどうにかぬるま湯で我慢するも、暖房器具のない室内も寒い。さらに日本から持ってきたドライヤーは熱風が弱いのになぜだか本体だけがどんどん熱くなっていきます。

「それ使うの危険だから止めな」

えぇー、日本のドライヤーも使えるって、ネットかなにかに書いてあったのに。

だけどたぁの言う通り。
使っていながらも危険は感じるので、なくなく冷えた体のまま半渇きの髪の毛でベッドに向かいます。

うーん、体は冷たい、掛布団は薄い。
暖を取ろうとたぁにくっつくも彼にも限界があります。

ちゃんと寝られるかな。



翌朝、夜明け前に目をこすりながら重たい体をどうにか持ち上げてベッドから起き上がります。もともと寝るのが苦手な私、さらに寒さもあって寝付くまでに時間がかかり、浅い眠りを繰り返した体は調子が良いとは程遠い状態です。

それに寒ーい。

今日もすごーく寒い。

11月下旬のネパールがこんなに寒いなんて思っていなかったので、厚手の服を持ってきていない私たちは重ね着に重ね着をして頭にはストールを巻いて、フードを被り風が侵入してくるのを妨げます。

真っ暗い空にまんまる一つ。

あぁ、今日は満月だったのね。

早起きの徳、みーつけたっ!


両親と合流すると彼らも同じ状態で、風除けの薄いライトジャケットで頭まですっぽりと被っています。

入り口にはドライバーさんが待っていてくれて、アニルさんとサガルさんがいなくなった分、広くなった車に乗り込みます。

ヘッドライトに照らされた暗い道をどんどん走っていくと、他の車も同じ方向を目指して走っていきます。その数はどんどん増えて、山中渋滞が起きています。

こりゃぁ、ロマンティックな日の出景色とかいかないかもな。


山を登り続けていくとドライバーさんは言いました。

「ここから歩いて行って。もうそんなに遠くないから」

目の前には停車ランプを照らす車でごった返しています。確かに歩いた方が早いかも。

外に出ると寒さがしみますが、空気が薄い中、上り坂を歩いていけば息は上がり、汗は掻くもので。

ハァハァハァハァ・・・・・・。

どうにか展望台に辿り着きました。



※2010年11月18-12月4日にたぁ両親とともに訪れたネパール旅行記です。



これまでのお話



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