ヒアリングを良くする工夫
診断士活動の中で、事業者の方へヒアリングをする場面はよくあります。
実務従事等の経営診断や、事業計画の策定支援、補助金申請相談などさまざまです。
ヒアリングをするにあたっては事前に相手企業や業界の資料を確認し、聞きたい質問のリストアップなど準備をしますが、ヒアリングを良くするための工夫で意識していることを、備忘も兼ねてまとめてみました。
1.質問の順番にとらわれない
たとえば実務補習の最初の経営者へのヒアリングでは、「経営」「財務」「人事」「IT」などパートを分けて順番に尋ねるような形が多いです。
リストアップした順番通りに答えてもらうのが一番効率的に思えますが、実際の会話の中では話題があちこちに跳ぶことはよくあります。
財務のパートで「商品原価の割合」を聞いたときに、「人件費」の話が出て、そこから「離職率」や「人事制度」へ、さらには「社内システムの使いづらさ」に話題が転がっていくような…。
そんな時に、話を遮って元の質問に戻したり次の質問に移すなどしますと、相手は話の腰を折られたと感じてしまいます。
なるべく自然な会話の流れを活かしたままヒアリングを進めるためには、ある程度話題があちこち転がっていっても対応できるのが望ましいです。
そのためには、聞きたい質問全体を頭に入れておき、質問同士の関係を感覚的につかんで、話の方向性を事前にいくつか想定しておけると良いでしょう。そうすることで、ヒアリング中に話題がジャンプしても最終的に聞きたい質問を取りこぼしなくカバーできるようになります。
チームでヒアリングする場合は、試しにロールプレイしてみるものアリかもしれません。
2.想定される回答や例を考えておく
質問によっては、答えたいことがうまく浮かばずに相手が黙ってしまうこともあります。
そういう時に「●●なんてことはありませんか?」「△△の場合はどうですかね?」と、こちらで考えてきた具体例や想定案を出してみると、ヒアリング相手に刺激を与え、新たなコメントやアイデアが浮かぶ助けになります。
あまり頻繁に出し過ぎると誘導的な会話になる恐れもありますが、やりとりの中で適度に提供できる材料は、予め用意していた方がいいでしょう。
3.質問の意図を説明する
ある質問をしたときに、その質問の意図や「どのような方向性の回答を求めているのか」を補足で説明すると、いい答えが出てくることもあります。
たとえば、「御社の商品についてお客さんから何か言われたことはありますか?」という質問をするとき、「顧客の意見や要望は“ニーズ”に繋がるもので、商品の改善や新商品開発のタネになる」ということも言い添えると、相手はお客さんとのやりとりを思い出し、質問の意図にあった言葉を見つけやすくなります。
4.回答へのコメントもする
相手が答えてくれたことについて、「はい」とか「わかりました」だけで終わらせるのではなく、その回答についての自分の考えをコメントします。
ヒアリングをされる側としては、自分の話についての反応を聞きたい気持ちがあります。
自信を持って言っていること、逆に恐々と話していることに対して、リアクションや意見(例「GoodかBadか」「普通か珍しいか」「他ではどうしている」など)をもらえると、より話したい気分が乗ってきます。
また、あなたが質問をする時には、相手からも自分を見定められています。
会話の中での適切な反応・コメントは、相手から信用を得るための材料にもなるでしょう。
以上、つらつらと挙げてはきましたが、実践するにはなかなかの準備と修業が必要です。
とはいえ、ヒアリング後に行う分析・提案などへうまく繋げるためにも、うまいこと出来るようになっておきたいものですね。
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