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たとえば星のようなものを

たとえば星のようなものを
欲しいという

言葉を飛ばそう
機能という脂肪に濡れ光る翼を重々しく広げ
ユーカリの木の下で毒を喰む夜鳥
醜く 食せぬほどに侵された肉に
空など飛べるものか

歩くということは重力に従うこと
重心に向け引きずられる肉体を忘却する一連の活動を
幸福や使命と名付け 地を這う言葉たち
気化されることもなく 重々しくサーバーに横たわる言葉の/
亡霊を見た日 音が聞こえたような気がしたのだけれども錯/
覚か空耳かその狭間で ねぇ 先生がおしゃっていたことは/
比喩ではなく予言であるかのように 私にはもうなにもきこ/
えなくなっているんじゃないかと いえ 正確にはもうきこ/
える言葉がなくなっていくんじゃないかと そんなロマンテ/
ィシズムをぶつける前に死んでしまっていたなんて
と 鳥が鳴いたかもしれない と あなたはいうだろうか

もう帰りましょう あなたはグラスを離さない
もう帰りましょう あなたはマイクを渡さない
もう帰りましょう あなたは私の手を取らない
もう帰りましょう あなたは帰るべき家がない

チョウセンアサガオ類を喰み
 ヨウシュヤマゴボウを喰み
  アブラギリ類  を喰み
   ジギタリス  を喰む
夕べ 夕げ 夕飯 夕食 やがてディナー
今夜はなにをこしらえましょうか
たとえば 星のようなもの

この星に星という言葉はもうありません
星は重力により地中深く埋まりました
 毒に 侵され 痩せこけ 浮き 出した 肋を 土に 擦り
 付けながら ゆっくりと あるいは 限りなく 光に 近い
 速度で 沈み 始め 瞬く間に あるいは 粛々と 埋もれ
 その 姿が 消えて いく さまを あなたは 驚きもせず
 ディスプレイ越しに 眺め その毒が 作り出した 植物を
 喰み 暮らしている ことを 自覚している ものと・・・
あなたひとりの仕業ではありません
なぜならあなたにそのような実績は認められません

たとえば 星のようなもの
たとえば 月のようなもの
たとえば 鳥のようなもの
たとえば 花のようなもの

なにか甘い蜜のようなものを喰みたいと
真実をすり替え
偽装された眠りに 欠席の朝を託しましょう

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