紫陽花のようななにか を 見た
歩いていた
毎日同じ道を
なにを運ぶわけでもなく
なにを伝えにいくわけでもなく
カラスの鳴き声を聞き分けながら
都市に包み込まれていた
それもまた概念
カシの木は違和感もなく
不調和な5600歩を
通り過ぎられていく
何者ですらないことの重み
何者かであろうとする罪
問いなきものは両手いっぱいに花を摘み
問いただすものは両手いっぱいに果実を摘む
諸手をあげ雨を待つ
見ること
言葉を裂き 葉脈を流れる微量の水分を舐め
静まること
咒文
を 繰り返し暗唱する
カラスの鳴き声と差異がなくなるまで
リズムが消えるまで
音楽を失うまで
葉脈をたぐり寄せていく