第24話 「楽器の寿命」
(松本市民タイムス リレーコラム 2017年7月24日掲載分)
先日、僕の楽器のユーザーさん(演奏家)たちが松本でウクレレのコンサートを開いてくれました。
集まってくれた中でも、横浜と大阪から来てくれたふたりの演奏家はもう17年ものお付き合い。
確かに2000年頃には国産のハンドメイドのウクレレはまだあまり選択肢がなくて、広がり始めたばかりのインターネットで見つけた僕の楽器を選んでくれたのは分かるけど、その後世の中にはたくさんの楽器ブランドが登場して他にも魅力的な楽器がたくさんある中でよその楽器には目もくれずに使い続けてくれている。ほんとに有り難いことだなぁと思います。
20年近くも使い続けると、当然季節や環境の変化、或いは楽器自体の経年変化によってメンテナンスが必要になってきます。
1台の楽器を適切なメンテナンスをしながら毎日弾き続けてもらえるというのは相当な愛情が有ってこそだと思います。また、当然ユーザーは17年間分楽器演奏の腕も上達していきます。
楽器は、そのオーナーの愛情と演奏の上達に応えられるものでなければなりません。熟練者ならではの繊細な演奏性能の要求に応えられなくなればその楽器は弾いてもらえなくなってしまいます。
ところで、ギターやウクレレなどの木製の楽器はどれくらいの寿命かご存知でしょうか。身の回りの電化製品などは通常10年もすれば使えなくなってしまうことが多いですね。自動車も頑張って20年位でしょうか。
それに比べて木で出来た楽器たちはかなり長持ちします。僕の家にも100年前に作られたハワイ製のウクレレが2本ありますし、あの有名なバイオリンのストラディバリウスはすでに製作されてから300年が経っています。
一般的には木は切り倒されてから500年の間は強度を増していくと言われていますので、楽器も木の部分は湿度などが適正であれば数百年は持つはずです。それに対して案外早く駄目になってしまうのが金属部品や接着剤で、楽器によっては30年も経たずに接着部分が剥がれてきてしまうものもあります。
僕の作った楽器たちも、何とか100年位は演奏家の手の中で弾き続けて貰えるような存在でありたいと願っています。
話は変わりますが、松本駅の改札を出て左、通路沿いのガラスケースに松本市の名産品のひとつである「楽器」が展示されることになりました。8月はまずエレキギターで有名な「フジゲン」さんから。是非ご覧になって下さい。
来年には僕の楽器も並びますよ!