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第40話 「ボヘミアンラプソディ」
(松本市民タイムス リレーコラム 2018年12月19日掲載分)
映画「ボヘミアンラプソディ」、もうご覧になりましたか?
70年代に活躍したイギリスのロックバンド「クイーン」を題材にリアルな演奏場面を交えて描いた作品です。
最近は映画館に行く人が減っているそうですが、この映画はかなり話題になっていて音楽映画としては記録的な作品になると思います。
知り合いやネット上での反応を見ると、「号泣した」「涙が止まらなかった」という声が少なくありません。僕自身も号泣まではしないもののちょっと涙ぐんだり、ライブ演奏の場面では興奮して手を叩きたくなったり歌いたくなったりしました。観終わってすごく爽快感と満足感のある映画でした。
「1人の音楽家の破天荒な人生を描く」というありがちな伝記的映画ではなく、クイーンというバンドが有ってこそのフレディマーキュリーという天才的アーティストを描いたのが、より映画を面白くしていると思います。
先日もテレビでこの映画の特集をしていましたが、職場の上司に誘われて見に行った20歳代の若者たちがそれぞれに自分が感動した場面を話しているのが興味深かったです。アーティストの孤独、性愛上の苦悩、個性を極めること、理想を追い求めること、バンドとしての友情やそれぞれの役割、などなど。
リアルタイムにクイーンの音楽を体験していなくても日常生活の中で耳にする曲も多く、映画の中でストーリーと共に音楽を体験することで共感が大きくなるのでしょうね。
クイーンのデビューは1973年。僕も高校生の頃に雑誌で見て憧れ、ラジオから流れる曲をカセットテープに録音してよく聞いていました。
僕は昔からギターの音そのものが大好きなのですが、クイーンの音楽はそのギターの音色とコーラスを中心とした、当時としてはかなり新しいサウンドでした。エレキギターを多重録音することでオーケストラのような音の厚みを作り、他のギタリストには無い音色を作り出していました。
ギターのブライアンメイは天体物理学博士でもあり、彼が使うギターは父親とともに100年以上も前の暖炉の木(マホガニー)を使って自分で手作りしたそうです。高校生の頃にその話を読んでかなり興味を持ったのを覚えていますが、僕の中で楽器作りへ興味が膨らむきっかけのひとつにはなってるのではないかと思います。
演奏場面の描写が素晴らしく、映画を見た若者の中から楽器演奏やバンドに憧れたりする人が出てくれたらいいなと思いながらこの映画のヒットを嬉しく思っています。