第49話 「木の恩恵」
9月にちょっと遅めの夏休みを取って、初めて沖縄の座間味島に行きました。
名古屋空港から飛行機に乗り沖縄へ。那覇からは高速船に乗り換えて約50分で座間味。思い立てば案外近い南の島です。シュノーケリングでもウミガメや色鮮やかな魚を見る事ができます。今回、僕は10数年ぶりにダイビングで海に潜ってみたのですが、その透明度や美しいサンゴ、ダイナミックな地形に興奮するばかりでした。
本当は松本空港から那覇へ直行便で行けたら嬉しいのだけれど。いつかは実現して欲しいところです。
ところで沖縄の海でたくさん見かけたサンゴ。最近は温暖化の影響で海水温が上がり世界中で生存の危機に直面していると聞きます。温暖化と言えば僕も以前から気になっていたことがあって、ちょっと調べてみました。
温暖化は産業革命以来急速に使用量が増えた化石燃料が原因とされます。逆に薪などを燃やすことは「カーボン・ニュートラル」と言って「プラマイゼロ」とされます。燃えたときに二酸化炭素は出るのですが、それは木が成長するときに取り込んだものであり、燃焼によって自然界の総炭素量が増えるわけではないという考え方からです。
僕はずっとここが疑問で「石炭だって何億年か前の植物が地中で化石化したものだから、燃やしても元々地球上にあった炭素が出るだけじゃないの?」と思っていたのです。
先日ある記事を読んでなるほどと思ったのは、「当時の地球は酸素がまだ少なく二酸化炭素が高濃度で、それを取り込んだ植物が数億年間地中に堆積し凝縮したのが化石燃料。」というところ。化石燃料は現在の樹木とは桁違いのCO2を吸収していたのです。
人類は、数億年分の高濃度CO2が詰め込まれた「パンドラの箱」を開けてしまい、今でもせっせとその中身を出し続けているということなんです。怖いですね…。
そしてもう一つ怖いのは、人類がその二酸化炭素を回収し固定する有効な方法を持っていないということ。
道端の小さな花でさえも、太陽の光と二酸化炭素を吸収して自分の体を作り、酸素を出しています。森もそうです。空気中の二酸化炭素を減らしてくれるのです。
ところが、素晴らしい科学技術を持っているはずの人類は未だにこれが実現出来ないそうです。びっくりしませんか?
だから人類は「化石燃料の使用量を減らしましょう!」という運動をしているのですね。今はそれしか出来ないのです。植物や樹木を大切にし感謝したい気持ちになりました。
(松本市民タイムス リレーコラム 2019年9月30日掲載分)