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なぜ、あなたの会社は変われないのか?
とある投資候補先の経営幹部から、「なんでうちの会社って、変われないんですかね?」と愚痴めいた相談を受けました。「もう何年も前から危機的状況にあるのに、経営陣は内輪揉めと小出しのリストラばかりで・・・」と。
自分の答えは、いつも同じです。
会社が変わらないのは、経営トップが「変える」という決断をしていないからですよ、と。
「変える決断をしていない」というのはどういう意味でしょうか。自分は、いつもこう答えています。
経営トップの決断が、具体的な理由・経験に基づいていない。
反対されても殺されてもやり抜こう、と腹をくくっていない。
仲間に厳しいことを言って、「じゃあ社長はどうなんですか?」と反論されたくない。
みんなの前で失敗するリスクを避けたい。
今までの自分のやり方を、否定されたくない。
苦節何十年、ようやく手に入れたこの地位に、できるだけ長く留まっていたい。(住宅ローンや、子供の学費もある。)
もう少しで逃げ切れるのに、そこまでして波風を立てなくない。
一言で言えば、勇気がない。
こういう精神状態では、変える決断をしたとは言えず、変革は成就しません。ちょっとした反対や躓きでトップの心は折れ、あっという間に改革は頓挫するでしょう。
経営において大事なのは、トップが決め、責任を取ること。
社内のほぼ全ての問題はそれだけで解決できるのだから、トップは決断し、責任を取るだけでいい。極めて簡単な話で、自分は常にそうしてきた自負があります。
トップは決断し、責任を取るだけでいい。
仮に失敗したとしても、為すべきを為さずに漫然と衰退を眺めていたのではなく、やり方が適切ではなかったということなので、こちらには救いがあります。自身のクビは飛ぶかも知れませんが、それを見た後任の誰かが別の新しいやり方を試せるので、その後の成功確率が上がるからです。
一方で、自分かわいさに失敗を失敗と認めないと、教訓が得られずに同じ失敗を繰り返すことになるので、こちらも決断したことになりません。
会社を変えるには、トップから変わるしかない。
それができないのであれば、トップ「を」変えるしかない。
あなたの会社が変わらないのは、トップに勇気がないからです。