デジタルで、事業を作り替える
くじらキャピタルは、「デジタルに精通した支配株主」として投資先企業のデジタル変革を牽引しますが、単に既存事業の顧客接点とバックオフィス業務を端から端までデジタル化するだけにとどまらず、「デジタルで事業を作り替える」ことにも取り組みます。
いわば、デジタルを使った事業のピボットです。
一般消費者、特に若い消費者の嗜好がモノの「所有」から「シェア」にシフトすることに伴い、顧客接点も「一過性の売買 + 散発的なアフターフォロー」から「反復継続的な提案・関与」に変わっていきます。
この「反復継続的な」顧客接点というのは、ものすごくデジタルと相性がいいのです。
デジタルの特徴
デジタルの特徴は、定量的・離散的に情報を収集・蓄積・活用でき、かつそれぞれの過程を自動化・スケール化できることにあります。従って、シェアリング・エコノミーの拡大で顧客接点の時間軸が長くなると:
1)そのお付き合いの中でお客様のことを知る機会が増える(データの収集)
2)投入データ量の増加に伴い、分析精度も上がる(データの蓄積)
3)お付き合いが反復継続的なので、提案できる機会も増える(データの活用)
ことになり、データの威力が乗数的に増していきます。一過性の取引では実現しにくい「おもてなし」を、反復継続取引では実現しやすくなるので、デジタルの力がそのまま事業競争力に直結するようになります。
さらに、デジタルはスケーラビリティを持つという特長もあるので、データの収集・蓄積・活用サイクルを巨大なスケールで反復再現することができれば、その事業は単なる「モノ売り」から「サービス・プラットフォーム」へと事業転換することができます。
ぽっと出のベンチャーが、この種の事業構想を練りながら実現させるのが難しいのは、乱暴に言い切ってしまうと、最初の取っかかりとなる顧客がいないからです。
かつ、顧客獲得はものすごい費用がかかる営みなので、ほとんどのベンチャーは顧客を十分に獲得できる前に資金が尽きて、消滅します。デジタルの破壊力を活かせる局面までたどり着けないケースがほとんどなのです。
デジタルが事業再生に効く理由
そこで、我々は考えました。
もし、既に多くの顧客を抱えている企業を、デジタルで変革させることができたらどうなるか?
既存の顧客とノウハウをそのまま転用しながら、ピボットしてサービス・プラットフォーム化することができれば、どうなるか。最初からデジタルの破壊力を活用できるのではないか?
元々顧客を持っている企業にデジタルをかけ合わせれば、顧客を持たないベンチャー企業などモノの数ではなくなる。新参者にdisruptされる可能性も大きく下がるはず。そう考えると、本来プラットフォーマーになるに相応しい地位にあるのは、既に顧客を抱えているいわゆる「レガシー企業」なのではないか?と。
くじらキャピタルがベンチャーキャピタルではなく事業再生ファンドの道を選んだのは、まさにここに理由があります。「レガシー企業」の方が、デジタルによる価値創造の余地が圧倒的に大きいという確信があったからです。
特に、経営不振企業や破綻企業に関しては、デジタルはほとんど手付かずなので、ごく初歩的な施策すら大きな価値創造につながる、との確信がありました。
資本の力で、変革を阻む障壁を破壊する
もちろん、一方では既存企業のデジタル変革には大きなハードルがあり、実際の成功例は極めて稀という厳しい現実もあります。
最大の障壁は、残念ながら経営陣でしょう。
経営陣のデジタル・リテラシーの低さと、「既存事業を捨ててでもプラットフォーマーとして生き残る」という覚悟の欠如が、デジタル変革やピボットを阻んでいるという現実は、どこまでも付きまといます。
くじらキャピタルは、ここにものすごいチャンスを感じています。
デジタル変革もプラットフォーマーへの脱皮も、支配株主という立場であれば実現できます。祖業を捨てるのかという批判にも、支配株主であればたじろぐ必要がありません。
支配株主は、変革・脱皮に必要な権能を全て有しており、正しいグランドデザインとやり抜く覚悟さえあれば、必ず実現できるからです。
くじらキャピタルが目指していることの本質は、デジタルで世界中の会社の事業を作り替えること。
投資ファンドという形態は、あくまでその実現手段と考えています。