天使
地中海ではとびっきり甘いお菓子と
きむずかしい神々に会ったんだ
あなたの
あふれる知識とナイーブな心が
紙を花びらのように埋めつくしていった
ひとひらひとひら
しろい蝶蝶になって
富士見通りを飛んでいった
ぶっきらぼうなアマノジャク
ほんとうは
翼がはえていたんだ
自由気ままにひょいと路地を飛び越える
誰かとすれちがいたくないから
ニンゲン嫌いを気取っていたけれど
千の花と樹の名前を教えてくれた
その肩のうえには
もう花びらはとまらない
鞄のなかには七色の鉛筆があった
ふるい東京ことばと中世ラテン語で
カフカもモーツァルトも友だちにした
いたずら好きの天使たち
いっぱい描いたスケッチブックをとじて
ユーモアと皮肉
まじめなことがなによりだいきらい
最後のスープ
あなたはうっとりした表情で
地中海の香りを胸にすいこんだ
あなたの描いた天使たちから呼ばれたんだ
かれらといっしょに
ルネサンスのきれいな青色にとけた
その空を
ぼくたちは
ここから見あげていてる
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
◎国立ランブリング「創作ノオト」
三月にひきつづき。
たくさんの詩と文章、そしてチャーミングなデッサンをぼくたちに遺してくれた飯山文雄さんに捧げる詩を、この四月にも。
写真は、清水さんちのグレイスとジェムちゃん。
ピンク色の花びらまみれながら、この春に飛び跳ねています。
まだまだ、この町で生きているぼくたち。
いましばらく、この花の町の景色を楽しもう。