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(11月初頭)2023年9月の材料出尽くし銘柄振り返り


はじめに


11月に入ったし、三連休で少し時間もあるので9月の材料出尽くし銘柄のその後を追跡したので記事にしてみた。

材料出尽くしで売られる理由やその銘柄をどうやってピックアップしているのかは過去の別記事を参照願いたい。
改めて簡単にその主因を考えると、主に次の二つがあると考えている。ひとつは決算や予期されていた商品、サービスの内容等がホルダーの平均的な期待には届かなかったという点。もう一つが既に評価益が出ているホルダーが、売りをぶつけるタイミングだと判断しやすいという点だと思う。

「材料出尽くし」は概ね厳しい結果になりがち


経験的に「材料出尽くし」となった銘柄はかなりの確率でその後沈んでいくと感じている。概ね8割前後は一ヶ月程度の期間では材料出尽くしで売られる前の株価水準まで回復しない印象がある。これは大きな出来高を伴って売られるため、その水準が抵抗帯となるからだろうと推察できる。

もし持ち株が「材料出尽くし」で売られたら放り投げて逃げるというのが一番の生存戦略だろう(あるいは僕は信用売りはやらないので、そちらの手法が開発できれば結構なエッジがあるとも考えられるが、得意な方は検討してみてはどうかなと思う)。もう一つまっとうな使い方としては、ブラックリスト化しておいて材料出尽くしとなった銘柄はしばらく触らないようにするというのも良い活用方法かもしれない。

ただし、中には何事もなかったように水準を回復し、するすると上値を伸ばすケースもあり、それは市場参加者が評価を誤ったかあるいは下がったら買いたい勢力が多かったのだろうと推察できる。

なので自分のように長期投資のスイングトレーダーは水準回復した材料出尽くし銘柄だけを後出しじゃんけん的に拾っていくのが正しい戦略だろうと考えている。

本題

では本題に入る。9月に材料出尽くしとなったのは以下の一覧の26銘柄(泉州電業09/05〜平和堂09/29)である。



9月の材料出尽くし銘柄一覧

これから1銘柄ずつチャートを貼って、その後の値動き等に関してコメントをつけ、最後に上記の表に情報を追加したものをまとめとして掲載する。時間の無い方のため最後の表だけみれば全体のイメージが掴めるようにしておくのでそちらからみていただいてもよいと思う。

※添付チャートの見方、注意点
・チャートは2023年11月2日終値の日足チャートである。
・ピンク色の十字線が材料出尽くし日と価格水準を表している。
・ホワイトの水平線が見える場合、それは8月以前(あるいは10月以降)にも材料出尽くしの判定があったことを示している。
・移動平均線は25、50,100,200期間の単純移動平均線である。
・材料出尽くしの水平線はその日の始値としている。


9824 泉州電業

コメント:一度も回復せず。典型的な材料出尽くし的下落。ちなみに下の二本の水平線は上から今年3月と昨年9月の材料出尽くし水準で現在はその二本に挟まれて推移中ともいえるが、目線は下。

泉州電業

8842 東京楽天地

コメント:一度も回復せず。材料出尽くし水準が上値抵抗帯(レジスタンス)として機能中。トレンドは不明確なレンジ。

東京楽天地

6309 巴工業

コメント:一度も回復せず。典型的な材料出尽くし的下落。売られた日の寄付きが天井となっていてその後もズルズルと落下中。長期的な上昇トレンドが崩れたとはいえないが、7、8月にサポートとなっていた水準も下抜けており、現在の位置付近でそろそろ反発しないとさらに下落が進みそうな気配。

巴工業

9984 ソフトバンクグループ

コメント:一度も回復せず。出尽くし水準値と200MAに挟まれた価格推移。短期的には高安が切り下がっており下降トレンド。

ソフトバンクグループ

3988 SYSホールディングス

コメント:一度も回復せず。材料出尽くし水準と200MAに挟まれている。長期的な上昇トレンドが否定されてはいないが短期的には下降中。前回、前々回も200MA付近で反発しておりその付近での攻防を見極める必要がある。

SYSホールディングス

9042 阪急阪神ホールディングス

コメント:一度も回復せず。200MA手前で下げ止まり25MA水準まで回復。7月中旬の安値を下抜けば長期的には下方向となるが、今はその手前。

阪急阪神ホールディングス

8173 上新電機

コメント:一度も回復せず。材料出尽くし水準が上値抵抗帯(レジスタンス)として機能中。長期トレンドは上方向でそれが崩れているわけではないが10月上旬の安値を下抜けるかあるいは上記レジスタンスを上抜けるかを観察すべき位置。

上新電機

8242 エイチ・ツー・オーリテイリング

コメント:一度も回復せず。200MA手前で下値固め中か。長期的な上昇トレンドが崩れているわけではないが、5月〜7月にヨコヨコしていたサポートを下に抜けるとしばらく買い場はこないかもしれない。

エイチ・ツー・オーリテイリング

6823 リオン

コメント:10月に入り一度水準の上に出る(12日間滞空)が、再度下に潜る。材料出尽くしで売られた後の最安値付近が下値支持線(サポート)となっているレンジ、もしくははっきりとはしないものの上値下値の切り上げ中の弱い上昇トレンド中とみるべきか。

リオン

7683 ダブルエー

コメント:一度も回復せず。節目の2,200円付近で下げ止まり25MA水準まで回復。テクニカル的には微妙な位置。

ダブルエー

7033 マネジメントソリューション

コメント:一度も回復せず。200MAを下回る水準が継続。2,300円付近で下げ止まり25MA水準2,700円付近まで回復。長期トレンドは下方向。

マネジメントソリューション

3491 GA TECHNOLOGIES

コメント:出尽くし下落の5営業日後に一日だけ少々回復したが、ギャップの窓埋め後は下落に転じ、なおかつ出尽くし水準がレジスタンスとして機能している。したがって一度も回復せずという判断でもよいと思う。長期的には下方向。短期的には方向感なし。

GA TECHNOLOGIES

6018 阪神内燃機工業

コメント:一度も回復せず。白い水平線は8月の材料出尽くし日水準。現在はその水準も下回り200MA直下でレンジの動き。

阪神内燃機工業

9279 ギフトホールディングス

コメント:一度も回復せず。200MAを下回り25MA付近でのもみ合い。長期的には下方向に変わったか。白い水平線は・・・本来なら1148円の間違い(株式分割した関係で)。

ギフトホールディングス

9697 カプコン

コメント:一度も回復せず。白い水平線は6月の材料出尽くし水準。10月26日の決算を受けさらに下落。長期トレンドは下方向に転換か。

カプコン

4666 パーク24

コメント:一度も回復せず。典型的な材料出尽くし的下落。トレンドも下方向。

パーク24

3391 ツルハホールディングス

コメント:材料出尽くしの売りに負けなかった銘柄。材料出尽くし水準が下値支持線(サポート)となっている事例。上昇トレンド維持。

ツルハホールディングス

3544 サツドラホールディングス

コメント:材料出尽くしの売りに負けなかった銘柄。ただし長い目で見ると今年に入ってからずっとレンジで、機能している下値支持線付近の攻防の範囲内という見方も。

サツドラホールディングス

8697 日本取引所グループ
コメント:材料出尽くしの売りに負けなかった銘柄。材料出尽くし水準が下値支持線(サポート)となり上げダウ(上値下値の切り上げ)が明確。

日本取引所グループ

6238 フリュー

コメント:一度も回復せず。25MAは上抜き。長期的に上昇トレンドが崩れているわけではないが、それを確認するためにも材料出尽くし売りの水準を上抜ける必要がある。

フリュー

7630 壱番屋

コメント:一度も回復せず。200MAは抜き返し、25MAも上に抜き返し短期的には反発中だが、価格は6月以降形成されたトリプルトップのネックラインを下回っており下目線。

壱番屋

7649 スギホールディングス

コメント:二度目の反発中。白い水平線は昨年9月決算時の材料出尽くし水準であり、上昇に転じたというよりも下げ止まった感。長期的には1年程度5400〜6700円のレンジの中に居るとしたほうが正確かも。

スギホールディングス

2792 ハニーズ

コメント:一度も回復せず。200MA下抜き、25MAでも下に跳ね返される。短期的には下降中。長期的にはレンジ。

ハニーズ

3075 銚子丸

コメント:一度抜くが終値では一度も回復せず。材料出尽くし水準が上値抵抗帯として機能中。長期的な上昇トレンドが崩れているわけではないが短期の動きはレンジ。終値として同水準を抜くのを監視すべき銘柄。

銚子丸

5351 品川リフラクトリーズ

コメント:一度も回復せず。年初来高値を更新して5営業日後に株式分割と権利落ちで下落。上昇トレンドが明確に崩れたわけではない。25MAは抜き返し。10月12日の高値を上抜けばダブルボトム完成で上に行く可能性あり。

品川リフラクトリーズ

8276 平和堂

コメント:一度も回復せず。材料出尽くし売りの日が本年の天井だった可能性あり。長期的な上昇トレンドが崩れているわけではないが200MA下抜き、25MAでも下に跳ね返され、天井形成前の押し安値を下抜いており、短期的には下方向か。

平和堂

まとめ


以上を踏まえ上記の一覧に方向感やコメントを加えたものが以下になる。

表:9月の材料出尽くし銘柄一覧(コメント評価付き)

おわりに

いかがだったろうか。9月中旬以降マーケットは調整に入っており、地合いが悪いのも影響していると考えられるが、材料出尽くしの下落を喰らって平然としていられる銘柄は数少ないということが示せたと思う(概ね8割前後は一ヶ月程度経過しても回復しないという経験上の数値に合致)。

9月のリストの中で今後明確に買っても良さそうなのは3391ツルハホールディングスと8697日本取引所グループの2銘柄のみである。あとは今後決算が出てサプライズで上げる可能性もあるが・・・

保守的な戦略としては材料出尽くし水準を明確に陽線で上抜くまでは手出し不要とするのが一つと、Wボトム形成が明確化する、下値切り上げが明確化する等の下げ止まりがチャートで確認出来てから打診買いしていくのがよいだろう。

別の見方をすれば、「材料出尽くし」は市場から突きつけられた厳しい通過儀礼のようなものであり、これをクリアしたのであれば真に強い銘柄というお墨付きを得たともいえるわけで、数は少ないものの時々「合格」できた銘柄に魅力を感じてしまうのもまた事実である。

また機会があれば、同様の追跡調査をしてみたい。

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