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逆張り監視リストの真相、RSIパワーゾーン戦略

■狙い


 自分のメイン手法であるRSIパワーゾーン戦略の概要と事例についての紹介記事。

RSIパワーゾーン戦略と相性の良いJT株

■RSIパワーゾーン戦略とは


 今のところこれが自分の行っている売買手法のベースである(実際にはインカムゲインも並行して狙う長期投資のスタイルに今は落ち着いているのでパラメーターやルールはそれ用に変えている。これについてはまた書く機会があればいずれ)。
 さて「RSIパワーゾーン戦略」とは何か?これには元ネタがあって、パンローリング社から出ている「『恐怖で買って、強欲で売る』短期売買法 ——人間の行動学に基づいた永遠に機能する戦略 」ロ−レンス・A.コナ−ズ著に掲載されている手法の一つだ。
https://www.amazon.co.jp/dp/4775972537

 非常にシンプルな手法で、著者のコナーズはS&P500の売買で良い成績が出ると書いているが、自分が検証したところ長期にわたって事業が拡大基調にある成長株や指数連動型のETFとも相性が良いことが分かった。

 具体的には、日足の戦略であり、200日移動平均線と期間4の短期RSIを使用する。売買ルールはこうだ。ある銘柄の価格が200日移動平均線を上回って推移しているとき、RSI(期間4)が30を下回ったらそれをトリガーとして買い向かい、RSI(期間4)が55以上になったら売り抜ける。拍子抜けするがたったこれだけである。

 書籍のタイトルにある「恐怖で買って、強欲で売る」というのはこの戦略に対しては大袈裟過ぎで、実際には長期上昇中の銘柄の押目を拾う感覚に近い。

■どの程度のポテンシャルがあるのか


 さて、書籍の中では、この手法をS&P500に使用し、買増し戦略を加えれば9割くらい勝てると書かれているが、実際に自分でS&P500について検証したところ、買増しなしでも75%程度の勝率と2.6程度のプロフィットファクターがあった(下図参照)。

本戦略によるS&P500の資産曲線

 個別株にももちろん有効で、自分が検証したところ米国株ならVisa(勝率80.2%、PF3.98)、PayPal(勝率70.8%、PF3.74)、Microsoft(勝率73.2%、PF2.94)などが高い数値を出した。

 当然わが日本株にも相性の良い銘柄は多い。ちなみにこの「RSIパワーゾーン戦略」について日経平均採用銘柄全部を調べてみたという草食系投資家Lok氏作成の労作動画がこちらです。
youtubeリンクのリンク


■実際にどのようにこの戦略を活かすか


 以下具体的にこの戦略の自分なりの手順を述べる。

1.この戦略に相性の良い(良さそうな)銘柄を調べ監視リスト化しておく(長期にわたって上昇基調にある銘柄であればほぼ間違いはない。また上記の動画や記事の最後に付したのおまけのリストも参考にして下さい)。

2.チャート分析ツールでスクリーニングし、監視リストを更新する。実は自分が市場が開いている日にほぼ毎日「逆張り監視リスト」としてツイートしている銘柄はこのRSIパワーゾーン戦略に習い、200日移動平均線より価格が上にあり、短期RSIが売られすぎゾーンに入ってきたものを「買い」候補としてピックアップしているにすぎない。少し補足説明すると、EPSが黒字でROEが8%以上あること、また低位株や出来高の少ない株は除くようスクリーニングの条件に加味している(ただし実際のチャート形状や価格が落ちてきた理由までは調べておらず、設定した条件でスクリーニングされたものを機械的に候補にしている)。

3.新規に候補となった銘柄は、価格が落ちてきた理由が特別にあるのかを念の為調べる。別記事にも書いたが「材料出尽くしの売り」や「不祥事発覚」、「新株発行による株の希薄化」などネガティブな材料があるケースや200日移動平均線より価格は上にあるが200日移動平均線が下に傾いており下降トレンドが明確であるものなどはリストから除外すべきだろう。これらのリストは毎日監視しておきこの戦略の出口に到達したもの、あるいは200日移動平均線より価格が下抜けたものも除外する。

4.資金とタイミングが合うなら買いを検討する。

5.コナーズは損切りの設定を書籍では触れていないが、実際は直近安値付近でもよいので不測の事態に備え損切りを入れておくべきだろう。仮に直近安値付近に200SMAがあるならそれを損切りとしても良い。

6.株価が下がりRSIの数値が買ったときよりも下がっても損切りラインに到達していないなら戦略的買増しを行っても良い。

7.RSI(期間4)が終値で55を超えたら翌営業日の寄付きで利益確定売り。複数のポジションを持っているなら半分程度を利確し、RSIが70程度まで伸びるまで残りはホールドする戦略も良い。

8.損切りラインを終値で下抜ける、あるいは200日移動平均線を終値が下回ったら容赦なく手仕舞い。

以上である。

■Trading viewでのスクリーニングおよびチャート表示


 実はTradingviewでは短期RSI期間4のスクリーニングはできない。そのため期間7をその代用としている。実際にはRSI(期間4)のほうがRSI(期間7)よりも敏感に反応するためRSI(期間7)が30以下になったらRSI(期間4)の30未満という条件はクリアしていると考えられるからだ。

Trading viewの株式スクリーナーフィルター(青い背景が設定項目)


 チャートには200SMAとRSI(期間4)を表示し、RSIには一応の利確目標であるレベル55にも水平線を引いておく。下図参照(実際の自分のチャート設定画面。後述する線形回帰チャネルも付加しているのとRSIの代替としてRSIをベースにボリンジャーバンドを付加したTDIというオシレーターを使用している。単に好みの問題。)

チャート設定の例(8306)三菱UFJフィナンシャル

■補足その1損切り設定


 損切り位置について、直近安値よりおすすめなのはチャネルラインを引くことである。できればこの取引の対象は価格が200日移動平均線より上にあると同時に移動平均線自体が上に傾いている長期上昇傾向の銘柄にすべきであり、チャネルラインも同様に上方向に向いている銘柄に限定すべきだと考える。したがって直近安値の代わりにチャネルライン下限を損切り位置として設定し、それを下に突破されない限りホールドしても良いと思う。
 さらにTradingviewには線形回帰チャネルという自動でチャネルラインを引いてくれるツールが標準で付属しており(手動で引くチャネルラインと違い価格の変動と時間経過でリペイントされるが)、偏差+-2、期間200の設定にしておけばその代用になると思う。

■補足その2パーフェクトオーダー銘柄とのリンク


 記事「パーフェクトオーダー銘柄の投資戦略」の中でも少し触れたが、実はパーフェクトオーダー銘柄の内、長期にわたってパーフェクトオーダーを維持している銘柄こそこのパワーゾーン戦略を使うべきだと考えている。なぜなら上にも書いたようにこのパワーゾーン戦略は長期上昇傾向の銘柄との相性が非常に良いからだ。

■おまけ


 東京市場の出来高の多い銘柄から順にこの戦略のパフォーマンスを調べてみた(2023年3月27日調べ)。それらの内好成績だったものをピックアップしておまけとして掲載。概ね1日の平均売買出来高が3万株程度以上あって、プロフィットファクターが1.5以上有る銘柄(ETF除く)について現時点での上位20社(プロフィットファクター高位順)を載せておく。

出来高上位銘柄のうちRSIパワーゾーン戦略におけるプロフィットファクターが良い銘柄一覧


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