
「ほんもの」の友達の作り方
一言で友達といっても、その関係性は人それぞれだと思う。
精神科医の樺沢紫苑先生は、友達とは次のような相手だと述べている。
困った時に、なんでも相談できる相手。
僕も、この定義にとても共感している。
「ほんもの」の友達までの壁
なんでも相談できるというのは、意外と難しいことだと思う。
理由は2つあるのではないだろうか。
①相手の時間を奪ってまで相談に乗ってもらうことへの、申し訳なさがあるから
②相談に乗ってもらうために、自己開示をする必要があるから
①は、相手への遠慮が原因だろう。
もちろん、「親しき中にも礼儀あり」という態度は大切だ。
しかし、「わざわざ自分のために時間をとってもらうのも…」とためらってしまうようでは、その相手はほんものの友達とは言えない。
この感覚は、一緒に過ごす時間が長くなるにつれて、薄れていくものだと思う。
②は、話しにくいことを打ち明ける勇気が必要だ。
「困った時にしたい相談」にも、色々とバリエーションがあるだろう。
ちょっと分からないことを聞く程度の軽いものから、メンタルを病みそうになるくらいの悩みのような重たいものまで、その幅は広いと思う。
時には、わかりやすく伝えるために、自分の中のコンプレックスやトラウマを打ち明けなければならないかもしれない。
しかし、そのようなことを他者に話すのは、勇気のいることだ。
「自分のこんな一面を知られたら、どう思われるだろう」と不安になるからだ。
「さらけ出す勇気」が関係性を前進させる
でも、よくよく考えたら、①も②も自分で作り出している幻想だということが分かる。
①は、相談したい相手の都合がいいタイミングを聞けばいいだけだし、②は、薄っぺらい見栄を捨てて少し勇気を持つだけでできる。
そして、自分の助けを求めているのにそれを拒絶されたなら、その相手は友達としてふさわしくないと分かるだけだ。
僕自身、過去に困ったときに助けを求めて、それがきっかけで関係が深まった経験がある。
社会人3年目の始め。
学生時代の友達は皆無、仕事でもプライベートでも人間関係が一切広がらず、孤独感に苦しんでいた。
もうどうしようもないくらいメンタルを病んだ時、1人だけいた職場の同期に洗いざらい相談したことが、大きな救いになった。
それまでは、友達が全くいないことや、孤独感が辛いことを、他人に相談できなかった。
「友達いないなんて変なやつ」と思われたくなかったからだ。
それでも、もう1人ではどうにもできないと思った。
同期を友達と呼ぶには少し距離感を感じていたが、いきなり「電話したい」とLINEを送り、そこで感じている辛さのすべてを吐き出した。
すると、「この仕事環境辛いよね」とか「私も友達ぜんぜんいないよ」とか、相手も共感と自己開示をしてくれた。
たかだか30分くらいの会話だったが、僕の気持ちはかなり楽になった。
たぶん、この会話がなければ、立ち直るのにもっと時間がかかっていたと思う。
それから僕たちは、より本音でコミュニケーションが取れるようになった。
お互いのことをより深く知ったから、心の距離が縮まった気がした。
「ほんもの」の友達の作り方
自己開示は重要なコミュニケーションスキルだ。
自分の弱さすらも、さらけ出してしまう。
より深いところまでお互いを知ることで、困ったときに、なんでも相談できる相手に昇華していくのだと思う。
表面上だけではない「ほんもの」の友達を作るには、人間関係に踏み込む勇気が大切ではないだろうか。