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社交不安障がい者が旅をする。#21
この日もmeetupに参加する予定にしていた。
昨日参加したものよりも、英語とタイ語のlanguage exchange にフォーカスしたイベントだ。
参加していたのは、英語ネイティブのおじさまやおばさまたち、タイ語ネイティブのお姉さんたちだった。
タイ語ド初心者の僕は、おじさまおばさまと一緒にビギナーグループに割り当てられた。
一緒にタイ語学習に付き合ってくれたのは、イベント主催者のお姉さんだった。
彼女は普段、英語の先生をしているようだ。
「クン チェウ アライ? (あなたの名前は何ですか?)」
「ポン チェウ シンジ (僕の名前はシンジです)」
習いたての単語たちを並べて先生が名前を聞いてくれたので、僕も右往左往しながら答える。
「コンター チェウ アライ? (彼女の名前は何ですか?)」
「コンター チェウ シルビア (彼女の名前はシルビアです)」
疑問詞を文末に置くところは英語と真逆で、英語を話しながらタイ語を学ぼうとすると混乱してしてしまいそうだ。
「クン マジェク ティナイ? (出身はどこですか?)」
「ポン マジェク イーポン (日本出身です)」
タイ語では、男性の一人称は「ポン」、女性は「チャン」とそれぞれ異なる。
丁寧な表現にする時も、語尾に男性は「クラップ」、女性は「カー」を付けるという慣習がある。
女性の店員さんがお客さんへの返事として「カー」とだけ言っているのを聞いて、なんかかわいいなとか思っていた。
しかし、男性と女性で言い方が変わるなんてややこしいなと思ったが、よくよく考え見れば日本語も同じだった。
男性は一人称として「僕」とか「俺」とか使う傾向があるが、女性は「私」ということがほとんどだろう。
英語であれば一人称はIだけ。
二人称もyouだけ。
三人称になるとhe/sheで対象の性別に合わせて変わる。
中国語でも一人称/二人称は、我/你だけ。
(一応「您」という、「あなた様」みたいな丁寧な言い方もあるけど。)
三人称も男性/女性で他/她と違うが、発音は全く同じtaなので話す分には意識することはあまりない。
語尾の「クラップ」や「カー」も、日本語の「〜だぜ」とか「〜わ」のように、男性が使いがちな表現、女性が使いがちな表現と似たようなイメージなのかなと思った。
そうして、縁もゆかりもない言語を学ぶことで、僕にとって馴染みのある言語の共通点や相違点に気づくことができた。
「やっぱり語学って面白い」
自分が既に知っていることは、いつの間にか自分にとっての「当たり前」になってしまう。
タイ語という未知の言語に触れたことで、その「当たり前」って他の人にとっては全く違うんだということを実感した。
「日本語を学ぶ海外の人も、日本語ってややこしい言語だなって思うんだろうな」
それは、言語だけでなく人生の他の分野でもそう言えるのではないか。
伝統やしきたりを守るのも大事だ。
だが、そればかりに固執していると視野が狭くなってしまう。
時にはオープンマインドで、全く知らない新しいものを受け入れることも大切なのだろう。
最初、どちらもネイティブではない僕は、最初は少しチャレンジングな場なように感じた。
だが、彼らの話す英語は聞き取りやすいし、僕のボキャブラリーも理解するのに十分だった。
「もう少しタイにいるんだし、タイ語もっと勉強してみよ」
それは、タイ語よりもっと役に立つ言語あるしそっち勉強した方がよくない?という打算思考を捨て去った、純粋な楽しさと興味から湧き上がる言葉だった。
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Meetupで出会ったおじさまおばさまや、お姉さん方と別れを告げた。
先ほどのイベントは本当に楽しかった。
しかしここ数日、心から楽しむことができている日もあるが、ふとした時になんだか満たされないと思うこともあった。
なんでだろう?と自問自答していると、本当はもっと楽しみたい気持ちがありつつも、どこか押さえてしまっている自分がいることに気がついた。
「もっとやりたいこと我慢せずにやろ」
そう思い、行ってみたかったタイ式マッサージに行こうという気になった。
Google Maps先生におすすめのマッサージ店を教えてもらい、早速向かってみる。
到着すると、店先にいたマッサージ師のお兄さんが案内してくれた。
メニューを選んで料金を払うと、椅子に座ってと促され、丁寧に足を洗ってくれた。
そのまま上階の部屋で着替えを済ませると、ついにタイ式マッサージが始まった。
最初はうつ伏せで背中や足のマッサージだった。
マッサージ師のお兄さんは、全身を使って凝りをほぐしてくれる。
その後は仰向けでのマッサージ、最後に座ってのマッサージを受けた。
約1時間のマッサージ。
痛み7割、気持ちよさ3割くらいだったが、受け終わってみると不思議と体が軽くなった気がした。
なんだか余計なものが体外に排出されたようだ。
自然と姿勢も良くなっている気がするし、何より気分がいい。
「これで250バーツなんてめっちゃ安いな」
爽快感の中、ほぐしてくれたお兄さんに「コップン クラップ」という言葉と払った金額以上の感謝を心の中で伝えた。
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そのまま夕食を食べようと、近場のショッピングセンターのフードコートに立ち寄った。
前々から気になっていたマンゴーライスを携えて。
このマンゴーライス、恐らくタイ名物の料理なのだが、マンゴーとライスって合うの?と初めて見た時から気になっていた。
調べてみると、カオニャオ・マムアンと呼ばれているらしい。
やりたいことは我慢せず、自分を満たすことを忘れない。
そう決めていたので、いよいよ買ってみたというわけだ。
フードコートで55バーツのガパオライスも頼み、夕食をいただいた。
ガパオライスは安定の美味さだ。
タイらしく辛味は効いているがそれがまたクセになる。
サクッと平らげ、ついにデザート(?)のマンゴーライスに手をつけた。
パックの中には練乳のようなものが入っている。
とりあえずマンゴーの上にかけて、ライスと共に口にした。
「お、めっちゃ合うじゃん」
どんなものかと思っていたが、マンゴーに合うように甘めの味付けがされたライスだった。
先ほどは辛めのガパオライスを食べたので、それを相殺するようなちょうどいい甘さだ。
デザートにぴったりだなと思いながら、こちらもぺろっと完食した。
そうして宿への帰り道。
やりたかったことをやることができ、心は最大限満たされた気がした。
やっぱり我慢しすぎるのは良くない。
もちろんリミットを外しすぎても後々痛い目を見ることになるが、この旅自体を楽しめなければ何の意味もない。
改めて、充実した旅と人生を歩むために、足るを知っていきたい。