見出し画像

任売 VOL.2

占有屋さん、支手決済、税務署。。。
う〜ん、まさにタイトロープ。
痺れる💦
しかも時間も無い。

兎に角、売買を成立させるには占有屋さんを退去させ、買受人にキレイな状態で渡さなければならない。

先ずは競売阻止を目論み、占有屋さんと賃貸契約を結んだ先代との交渉から始めた。

月末に回ってくる手形について説明し、売却代金で手形を落とさなければならない。現況、当社に資金の余力は無い。不渡りとなり、次に手形が回ってくる10日には取引停止処分となり、金融取引だけではなく、一般的な入札もできなくなる。要は会社が操業できなくなってしまう事を伝えた。何よりも事業継承する息子さんのために売却を英断して欲しいと伝えた。

先代は深く、ため息をついて「…わかった」。

①売買は月末日。当日AM9時までに賃貸契約を解除し、同時刻までに物件を明け渡す事が出来る状態であれば、売買を実施する。

②売却代金で手形を落とし、余剰資金は当面の運転資金とする。要は事業再生資金とした。

③ただし、当日までに差押が入れば当然売買は成立しない。

④占有屋さんが素直に退去に応じるのか?(間違いなく退去させるにはお金がかかるだろう)

色んなことが想定された。

売買前日、先代は「交渉は難航している。退去の同意書はまだ署名頂いていない。。。」と鎮痛な声だった…。

占有継続、売買不成立、不渡り、取引停止処分、そして差押。
最悪のシナリオが頭をよぎった。

仲介はいつも助けてくれる不動産屋さん、Sさん。

売買当日の朝、Sさんと朝の6時にデニーズで待ち合わせ、物件に向かった。立ち退きを確認しに向かったのだ。

いつも冷静で何があっても動じないSさんが車の中で言った。

「奥ちゃんさ、ワクワクするよね。… 今朝、久しぶりに仏壇に手を合わせてきたよ。親父にお願いしちゃった(笑)」

「え〜!やめてくださいよー!」


[つづく]



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?