その日の夕方、私は疲れ果てた体で帰宅しました。
都合よく体調を崩した同僚のせいで前日の夜勤から続けてそのまま日勤に。とうの彼女は課長の部屋のベットでさぞやスヤスヤと寝ていたことでしょう。
私が眠りについたのと自室のベットに倒れこんだのとでは、どちらが先でしたのか。辛うじて化粧だけは落としたはずでした。
ふと目を覚ますとカーテンの隙間から日の光が漏れていました。
疲れすぎて朝まで寝てしまったのか。
思わず悪態をつきながら私は体を起こしました。
さすがに遅番に代わってもらったのでどれだけ寝ていようとまだ間に合うだろうけど……と思いながらカーテンを開けると、外はまだ真っ暗だったのです。
たしかにいま、光があったはずなのにです。
時計を見ると夜中の2時。
おかしいなと思いながらも夢かなと考えて、私はシャワーを浴び、もう一度布団にもぐりこみました。
今度こそ、ちゃんと眠りに落ちました。
朝になり目を覚ますと、思いのほか体の疲れが取れていて
「まだ私も若いな」と、ひとりごとを言い、ひとりで笑いました。
いつも通り、会社に行くと、職場はなんだか少し騒がしくなっていました。
どうやら、くだんの上司と彼女が今朝、事故に遭ったとのことでした。
バレバレなのに一緒には出社しない2人が、その日に限って一緒に車で来ようとして、電柱に突っ込んだようです。
怪我は負ったものの命に別状はなく、上司は左腕を折り、彼女は額を三針縫いました。
2人の話では走っていたら突然前がまぶしくなり、気が付いたら電柱にぶつかっていたらしいです。
そこでふと、私は昨夜のことを思い出しました。
「事故にでも遭えばいいのに」
私はたしかにそう言っていました。
ちょうどあの光に向かって。吐き捨てるように。
単なる偶然かもしれません。でももしかしたら違うのかもとも思うのです。
私はその後、左腕にやけどを負い、一時期頭痛に悩まされることになりました。
あれがなんだったのかはいまだにわかりません。