呟怖 祖父の形見 (朗読:かすみみたま様)

祖父の形見の傘がある。
生前よく使っていたものだ。
雨の日の散歩が好きだった祖父らしく、特注のオーダーメイド。
やや大きめで意匠もこらしてある。
ただ、使い勝手はとても悪かった。
雨の日になるといつのまにか見当たらなくなるのだ。
どうやら雨の散歩に祖父がまだ使っているらしい。

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