短編怪談「彼が悲しそうな理由」
久しぶりに会った友人は学生の頃とは打って変わって寡黙で雰囲気も暗かった。
一体、クラスのムードメーカーになにがあったのか。私は彼の話を聞くことにした。
彼は悲しそうな顔で話し始めた。
「大学の時に事故に遭ってさ。頭を強く打ったらしくて、一命は取り留めたんだけど。」
そこで一度言葉は途切れた。
「後遺症があるのか?」
心配そうに聞く私に彼は答える。
「そう……なるかな。その事故以来、幽霊がね見えるようになったみたいなんだ。頭は正常、他に目立った変化はないし、だから多分現実なんだろう。。。ただ、」
言葉を続ける。
「僕が見える幽霊は全員。自分が幽霊であることに気が付いていないんだよ」