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刺さった話(それぞれの2020年)その1
少し前にGINZA MUSIC BAR(以下GMB)でセレクターしていたときセレクターブースの目の前の席に女の子のゲストが一人でやってきてチョコンと座った。
若干ソワソワしてる様子なので、話しかけたら僕のSNSを見てわざわざ選曲聴きに来てくれたらしい。
選曲のすきまに音楽についてはなした。
あまり客数も多くなかったのでその後も色々話を訊いた。
何やら今やっと弁護士のインターンのようなものが終わって本格的に働き出すのだとか。
で、弁護士になる動機に興味が湧いて訊いてみた。すると
「小さい頃から政治家になることが夢でした、世の中を良くすることに関わる人生にしたいとずっと思っていました」
続けて、
「実際に一定の期間代議士の秘書のようなことをやって、さまざまな経験をさせてもらったのですが、政治の世界から私の思う世の中を良くするためのことが出来ると思えなくなったのです」
「なので、方向を変えて法律の勉強をして弁護士になり、社会的弱者を救える立場になりたいと思ったのです」
ちょっと、どころか結構驚いた。胸も熱くなった。
おそらくお酒もそんなに好物ではないんだろうけど、音楽がとにかくだいすきなように見受けた。(GMBの腕利きバーテンダーがノンアルコールのシャープでスウィートなカクテルを提供し、それには感動している様子だった)僕が紡ぐランダムな曲に都度都度メモのようなものまで取っていたので、SHAZAMの存在を僭越ながら教えてあげた。
僕の音楽にはここ数年で出会ったようで、ファン歴が浅いことを気にしていたけど、そんなことは本当にどうでもいいと伝えた。
その後も色々話しこんでその日の営業終了までぞんぶんに音楽を堪能してくれた様子で、とても嬉しそうに帰って行った。
そして昨夜、GMBでセレクターをしているとその彼女がやってきた。生憎僕の目の前は埋まっていて、少し離れたカウンターで前回と同じ様に一人黙々と音楽を味わっていた。配信も同時にやっていたこともあって割と忙しかった僕は、軽く挨拶をしてその後閉店まで話す機会がなかった。
22時(東京都のお願い通り)で店が終わりお客さんたちに挨拶を一通りし、出口に向かうとちゅう彼女にも声をかけた。そして、
彼女「お願いしてもいいですか?」
僕「あ、写真ですね」
彼女「あ、いえ写真もいいんですか?」
僕「あ、恥ずかしい、勝手に写真と思い込んで」
彼女「あ、いえ、あのやっと始まった弁護士の仕事の最初の名刺をもらってもらえませんか?」
僕「え?あ、、もちろん!光栄です!」
本来は両親や世話になったひとたちが先なんだろうけど、なんだかとても幸せな気分になった。彼女が世の中で困ってるひとを助ける活動をやってどんどん活躍していく姿をまぶたに想像しながら帰路についた。