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たぶん。きっと。焦っちゃいけない。


「君と一緒に働きたいんだよ。うちに来てくれないか。」

上場企業社長から直々にオファーを受けた時、心が動くとはこういうことかと実感した。


それまで志していた教育業界とはかけ離れた、不動産業界へ飛び込んだ僕。会社に貢献し、30年後上場企業役員になってやると意気込んでいたのを覚えているが、入社後、"聞いていたのとは違う” ことばかりで正直困惑した。


入社後2年、月平均150時間以上の(サービス)残業と、人事異動先の高圧的な上司の影響か、体調を崩してしまった。会社が提携しているクリニックのカウンセリング医師に相談したいと、人事に申し込んだが、「予約に1か月以上かかるから、少し休んではどうか」と2週間の休暇を取らされ、結局、戻る部署はないと干されるような形で退職となった。


・・・おかしい。


こんなはずではなかった…気がする。大学の友人たちは、国家公務員や名だたる有名一流企業に就職を決め、順調にキャリアを積んでいる。頑張って勉強して、いい学校に入れば、いい人生が送れるというのは、あながち間違ってはいないのだろうが、僕はその例外ということか。

もちろん、出世するために京都大学に入ったわけではないが、一生懸命働いて、ノルマの2.4倍の成果を出し貢献している私が、こんな扱いを受けて会社を干されることになるとは、思いもしなかった。



意図せず退職に追いやられた私。体調は戻らず、毎日無気力と腹痛に悩まされ、眠っても悪夢で目覚める(あの高圧的な上司に殴られそうになったり、変な物体に襲われたり…)日々を送っていた。


「○○(私の名前)大丈夫か?また飲もや。」

そんな時に声をかけてくれる、私の親友。親友が親友たる所以がここにある。東京に上京した自分と、地元関西で働いている彼とは距離があるが、流行りのリモート飲み会のおかげで、その提案は一気に現実味を帯びた。

飲み会が始まり、2人で軽く近況報告をした後、一緒に通った塾の話、高校のクラスが3年間一緒だったこと、大学生の時にアパートで一緒にテレビゲームをやった話など、他愛もない話で夜が更けていった。僕が会社を辞めた経緯や原因などについて、彼が聞いてくることは無かったが、そこに彼自身の優しさを感じた。



退職してから5か月が経過した。

十分な睡眠を取ること、バランスの良い食事を心掛けること、運動すること、刺激物を食べないこと、そして、無気力で何もできずにいる自分を肯定すること・・・

体調を戻すためのあらゆる努力を行った甲斐あってか、4か月以上続いた体調不良が少しずつ良くなり、元気を無くし前進しようとしない自分を受け入れることで、気持ちが楽になってきた。

会社員としての生活にトラウマができてしまったかもしれないし、再就職しても体調を崩してしまうかもしれない。たしかにそんな不安はあるけれど、自分の可能性を自ら狭めることなく、焦らずにいろいろな道を検討していきたいと思う。

 


親友よ、必ず元気になるから、進みたい道を見つけるから。

また今度会って、笑顔で乾杯しような。




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