友井川拓note 〜学びの接点〜 Vol.12 「ラグビーコーチとBリーガーの話。」
今回の対談のご相手は、Bリーグ、サンロッカーズ渋谷で活躍する石井講祐選手。
学生時代、県選抜にも国体選手にも選ばれなかった選手が、トライアウトからBリーグでの契約を勝ち取り、4度の天皇杯優勝を経験し、リーグを代表するシューターとして活躍し続けられるための思考を学びます。
とにかく多くの人に読んで欲しい...。
淡々とした口調の裏に強い意志を感じます。こういう選手が増えるとスポーツもより価値の高いものになっていくと思います。
あきらめたらそこで試合終了ですよ・・・?
お楽しみ下さい。
人物紹介
東海大学を卒業後、関東実業団リーグの富士通から千葉教員バスケットボールチームに移籍。
2013-2014シーズンからトライアウトを経て練習生契約で千葉ジェッツに入団。
2014年1月千葉ジェッツと正式選手契約。
2019年7月4日、サンロッカーズ渋谷に移籍し。
4度の天皇杯優勝。
2018-2019シーズンには『ベスト3ポイントシュート成功率賞』を受賞。
ご挨拶
友井川:最初に小沼さん(シャイニングアークス キャリアディレクター)の紹介で挨拶させてもらったのは2年前くらいかな?顔は何度も合わせているけど、こういう風に腰を据えてお話するのは初めてですね。とても楽しみにしていました。
石井 :こちらこそよろしくお願い致します。
友井川:Noteで記事を書いていて、様々なものから学びを得るってことを軸にしてます。そこでラグビー以外のスポーツの方に触れたいなという想いからお話をさせていただきました。
講祐君もNote書いているよね。色々読ませてもらってます。
面白いよね。言語化出来ていてすごいなと素直に感心しています。
石井 :ありがとうございます。こちらこそよろしくお願い致します。
アンテナを高く
友井川:メンタルトレーニングとか積極的にやっているけど、どういう想いで始めたんですか?
石井 :東海大学の時に興味があってスポーツ心理学を受講したこともあったんですが、実はその時はあんまりしっくりきていなかったんですよね。
けど、プロになって活躍をしている選手を観ていると試合中の落ち着きだったり、振る舞いだったりとかが他の選手とは違うなって肌感覚で感じていて、スキルは勿論ですが内面的な部分が大事なんだと感じていたのが最初です。
友井川:それをプロになって早い段階で感じ取れたってすごいですよね。
バスケットって人口も多い上で、出場出来る人数も限られていることもあるからプロの門は狭いですよね。エリート中のエリートが入ってくる印象がある。ラグビーでもメンタルの重要性に早いうちから気づける選手ってそう多くないのが現状だね。
石井 :でも僕は大学卒業後の3年間は実業団でプレーしていて、トライアウトを受けてプロの道に進んだんですよ。
だから、上の人達をどうやったら追い越せるかってことを常に考えていた立場だったっていうのもあるのかもしれないです。
評価って意味だとただでさえ下からなので、真っ当に勝負してたら勝てないなみたいな。
何かしら他の選手がやっていないようなことを突き詰めてやらなければ、上にはいけないと思っていたので。
それで常にアンテナを張っていたってところはありますね。
友井川:早いうちに気づけるのってすごく重要だよね。
石井 :他の競技のアスリートの人の体験をドキュメンタリーや本とかで触れると困難な時のメンタルや日々のメンタルを保つための考え方とか、やはり自分なりの芯があって自分の言葉で発言できる選手が多かったのでそういう観点がすごく重要なんだとは思ってましたね。
友井川:普段意識していない選手は自分の言葉で話せないからね。
やはり突き抜ける選手っていうのはキチンと自分の考えが整理出来ている。これは経験だけでは無理でトレーニングが必要なんだよね。
石井 :そう思いますね。本当に。
トライアウトからBリーグ最高の3ポイントシューターに
友井川:バスケットはいつから?
石井 :小学校4年生、10歳の時からですね。
友井川:それからずっとバスケット?
石井 :はい。
友井川:その頃からやっぱりずば抜けていたわけでしょ?
石井 :いや、全然ですね。笑
中学校も県選抜入れなかったですし、高校も国体選手には選ばれていませんでしたね。大学も4年生からやっとベンチから出られるようになった感じですね。
友井川:それでプロの第一線で活躍し続けているのは凄いよね。
プロの入り口はトライアウトで千葉ジェッツに入団したのだよね?
石井 :そうですね。千葉ジェッツに練習生でどうですかって声をかけていただいて。
友井川:その時の印象は?
石井 :会社辞める時も、プロで1、2年で結果出なければ現役諦めようと思っていたんで覚悟はあったんで練習生で声かかってもまだこれからだって感覚でしたね。
友井川:今の短い会話の中でも常に成長しようって意欲が強い方だなって感じていて、実際にプロの世界でやっていけるって手応えはいつ頃感じたんですか?
石井 :正直、2、3年目でシュートは通用するなって手応えはありました。
トータル的に他の面でもって考えるとBリーグ1年目で天皇杯優勝して、2年目くらいにはリーグの中でも存在感は出せていけるなと実感しました。
3年目に3ポイントで1位獲れたのは自分の中では大きな自信につながりましたね。
狙って獲れたので。それまではいい仕事はするけど目立たないような選手だね、みたいな周りの評価が見える形で結果が自分で獲りにいって獲れたのは良かったです。
リーグを代表するシューターになるって目標を掲げていたんで、それを達成出来たのは自分の中で大きかったですね。
©️ SUNROCKERS SHIBUYA
友井川:獲りにいって獲れたってことだよね。重要なのは。
たまたま獲れるようなレベルではないから、才能がズバ抜けていて意識せずに獲れたって選手も中にはいるだろうけど、自分で獲りにいって獲れたという結果が自信から確信に変わったってことなんだろうね。
石井 :はい。1年目も実は2位だったんですけど、その時は終盤で確率を気にし過ぎてしまって、上手くいかなくて。
獲れた時は、気にするのは気にしてたんですけど、自ら望んでプレッシャーをかけて、そのプレッシャーに向かっていって取りきれた感じだったので手応えは大きかったです。
でもまだプロ8年目なので、まだ伸び代はあるかなと。
友井川:意欲が強すぎるよね。笑
石井 :ははは。笑
友井川:満足しないところは勉強になります。言葉の端々にそういう意思が見えるな。
大器晩成
友井川:サッカーしか知らないものは、サッカーすら知り得なくなる。という言葉を大事にしていて自分の分野だけ学んでいても成長するという観点で限界があると思っています。
そのことをテーマにこのNoteはしていて、講祐君の話を聞いていると学生時代にはまだ突き抜けていなかった選手がプロの第一線で活躍するっていうのは、何かしら自分から学びに行くという姿勢がないと出来ないことだと思っていて、そういう観点で大事にしている想いや考え方ってある?
Noteで言語化とかもしているのもいいなと感じていてます。
石井 :僕は元々バスケット界でめちゃくちゃ身長が高いわけでもパワーがあるわけでもなく身体能力って意味では下の部類に入るのかなと。学生時代も自分より上手い選手ばかりでしたけど、その中でどうやったら追いつけるかってことを常に考えてました。
あとは人がやらないことを突き詰めるってことは大事にしています。
その日は勝てなくても、積み重ねて最後に笑えばいいというマインドを持ってやっています。目の前の敗戦は悔しいですが、長期的な視野を持つことは大事だなと常に言い聞かせています。
友井川:自分のこと、どういう性格だと思いますか?
石井 :マイペースですよ。
小学生の時とか、みんなダンクの練習をするんですよ。僕はひとり参加しないような選手でした。
俺はシュートを練習すればいいやと思っていて、横でひたすらシュート練習しているような。
友井川:でも一歩引いているのはいいのかもしれないね。
チームの中もバランスが重要で客観的に物事をみれるプレーヤーがいるといいと思う。実際そういう立ち位置でしょ?
石井 :そうかもしれないですね。
実際に3ポイントとかも小・中学校とかでもみんな打ち出すんですけど届かないので無理やり飛ばそうとしてフォームが崩れちゃうみたいな。
なので、自分はきちんとしたフォームでしかシュートを打たなかったんです。
その時から長期的な視野はあったのかもしれないですね。
友井川:実際そうなんだろうね。
石井 :筋肉がついてきたらそのうち届くだろうと思っていたので、今は型をキチンとつくろうとやっていました。
実際に届くようになったのは高校3年生ですね。
大学で推薦もらったのは3ポイントを評価されてなので価値はあったのかなと。
友井川:長期的に考えてそこに着実にステップを踏んで到達するってなかなか出来ることじゃない。
僕は逆でめちゃくちゃ負けず嫌い。小学校の時とかウォームアップのゲームでも負けたくないみたいな。
同じチームなら講祐君はそういう僕をみてムキになってんなぁみたいな感覚で客観的に見てるんだろうね。笑
石井 :多分そうですね。笑
友井川:特にトップレベルのチームだと、負けん気強い選手が大半だと思うから貴重な存在だろうね。俯瞰して客観的にチームを分析しているような選手は。
石井 :あとは両親にずっとお前は大器晩成だって言われ続けていたのも大きいですね。だから、長期的な視野を持てた部分もあったのかなと。
友井川:大器晩成って言い続けてくれるって。素晴らしいね。
©️ SUNROCKERS SHIBUYA
石井流アウトプット
友井川:バスケットやメンタル以外に学んでいることってありますか?
石井 :食事や睡眠、ビジョントレーニングとか体のことは積極的に学ぶようにしています。
友井川:Noteはなぜ書こうと思ったの?
石井 :元々他のアスリートの記事を読んだりしていて、アスリートが自分の考えを発信するのっていいなと。
考えも整理できますし。他の選手はYoutubeやったりしている選手もいたりしましたけど自分はNoteがしっくりきたんですよね。
同級生のバスケやっている先生とかにもプロ選手の考えやトレーニングを発信してほしいみたいなこともあって始めました。
僕のスタイルとして文章で言語化してまとめて発信出来たらいいなというのがキッカケです。
友井川:文章に書いて残すって結構怖くない?
石井 :自分の資産になるかなと。
後々振り返った時に積み上げていたら、下手な履歴書よりこっちの方が人となりもわかるかなと。Youtubeでふざけた投稿するより自分は合っているかなと。
友井川:その発想はあんまりなかった。
石井 :HP代わりにもなるかなと。
NO喰わず嫌い
友井川:大事にしている考え方や言葉とかありますか?想いでも。
石井 :新しいことでも一度やってみるってことは大事にしています。喰わず嫌いはやめようと。
元々合わないなと思ったら嫌うタイプだったんですけど意識してやるようにはしています。反面、これと決めたことはブレずにやりきるという事は意識しています。
友井川:そこはバスケットにも活きているんだろうね。
石井 :もちろんバスケットにかけていますが視野は狭くならないようには努力しています。バスケットが無くなったら人生終わりのような生き方はしたくないです。
友井川:それは完全に同感で、逆にそれが選手生活を長くしたり、長くバスケットに携わる近道だと思うんだよね。バスケットだけですみたいな選手はいつか必ず身体的な衰えは来る。そこからまた上がれずキャリアを終えてしまうなんて事はバスケットだけでなくラグビーでもサッカーでも同じです。共感します。
©️ SUNROCKERS SHIBUYA
チャンスは近づいてくる。淡々と。
友井川:将来的な夢はありますか?
石井 :現役中は学生時代に選抜とかに入れなくてもプロでも活躍できることをもっと証明したい。
同じような立場にいる選手にも必ずチャンスはあるってことを伝えるのが僕のミッションです。引退後もそれを第一に置いて活動していきたいです。
3ポイントで1位を獲ったので、シューティングコーチとか日本ではまだあまりいませんがシュート専門のスキルコーチとか開拓出来たらいいなって。
友井川:素晴らしい。はっきりしてていいね。
でもさぁ、絶対に諦めると思うんだよね。バスケットってとんでもなく狭き門で選抜とか入らずプロで長きに渡って活躍するって自分を信じていても、どこかでフラついてしまうよね。
プロ選手になるってことでは。
稚拙な言い方になってしまうけど、他のスポーツも含めて数少ないロールモデルになるよね。本当に。
石井 :まぁタイミングや運もありますよね。指導者とか。たまたま同じポジションに怪我人が出るとか。
友井川:いつ来るかわからないチャンスの為に、ずっと準備し続けることが大事。
簡単に言うけど本当にすごいことをしてきたんだなと。僕も勉強させてもらいました。ありがとうございます。
石井 :こちらこそありがとうございます。
淡々と自分に必要なことをやり続ける事は重要だと思っています。
そうするとチャンスは近づいてくるって感覚はあります。「人事を尽くして天命を待つ」って言葉は好きです。
あとは周りのせいにしない事は一番、コーチや先生が試合に使ってくれないとかチームメイトがとか。どんな環境でも覚悟次第かなと。
友井川:自分で環境は変えられると。
たまたま最近コーチの講習会があって、コーチとしてのフィロソフィーを漢字一文字で表せみたいな質問があったんだけど、僕は「学」って漢字をすごく大事にしている。それは、あらゆる分野から学ぶということをやめないことを意識してコーチングしていくべきという想いと、選手のみならず関わる人が自分から1つでも学んだなって思ってもらえるような人間になりたいっていう想いからなんだよね。
今日も40分くらいかな、短い時間だったけど講祐君から本当に多くのものをヒント・学びを得ましたありがとう。僕から学びを得たかはわからないけど。笑
あと素直に生き様かっこいいなと。
だからこそ講祐君を色んな人に知ってもらいたいなと思った時間でした。
石井 :ありがとうございます。
友井川:バスケットも観にいきたいです。ラグビーも観に来て下さい。
石井 :是非。お願いします!
対談を終えて
とにかく、成長しようという意欲がすごいなと素直に感心した対談になりました。現状に満足しないって言葉で言うのは簡単だけど体現するのは難しい。前回の対談で野中騎手も「1日半歩」って話をしてくれましたが積み重ねる事の重要性を改めて認識出来た対談になりました。
スポーツ選手はもちろん、学生やビジネスパーソンにも多く知ってもらいたい。
ただそれだけです。
時は来た。それだけだ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
引き続きよろしくお願いいたします。
おわり。