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AMRの利用者からみた ANSI/RIA R15.08 産業用 AMR 安全規格

 昨年末にリリースされた ANSI/RIA R15.08 パートI は産業用AMR (IMR: Industrial Mobile Robot)  のメーカーを対象に、IMR が稼働 する同じ空間で働く人の安全を確保するために IMR メーカーが考慮しなければならない要件を標準化し ています。R15.08 は配送倉庫や製造現場など管理され た特定空間で IMR を利用することを前提としており、ある程度 AMR の挙動についてトレーニングを受け た人たちの中で運用されることを想定していますので、一般の人が往来する市街地などでの利用は適用外 となります。また R15.08 では IMR を3 つのタイプに分類し、AMR 本体のタイプA、タイプA に棚やト レイなどの静的アタッチメントを搭載したタイプB、そしてタイプA にアームなど動的アタッチメントを 搭載したタイプC とし、それぞれのタイプに応じた安全基準を定義しています。
 IMR を導入するユーザーは AMR の基本的な特徴について理解することが求められますが、自律移動す る AMR の肝は周囲を認識する目であり耳であるセンサーです。しかし AMR が搭載しているセンサーは AMR のメーカーやタイプによって異なりますので、IMR を採用する際にはその IMR がどのような動作環 境を想定しているのかを理解する必要があります。よって IMR を導入しようとしているユーザーはまず IMR を導入しようとしている運用環境 (Operating Environment) を明確にし、その運用環境での動作が 導入しようとしている IMR がサポートできるかを AMR のメーカーに問い合わせることが AMR 導入の最 初のステップになります。
 次に重要なユーザーのステップは IMR 導入のリスク評価 (Risk Assessment)です。IMR が導入される 現場は日々状況が変化しますので導入検討時に一度リスク評価を行うだけでは不十分ですし、リスク評価 はベンダー任せにせず、運用環境を一番理解しているユーザー自身が行うことが重要と思います。もちろ んリスク評価の内容を AMR ベンダーと確認することでより現実的な評価が可能となると思います。例えば AMR ベンダーに R15.08 安全基準のガイドラインを満たしているか、既に導入されている現場で人が 怪我をしたケースがどれ位あるかといった、人の安全に関する情報を得ることも重要です。
 ANSI/RIA R15.08 は今後インテグレーターを対象としたパートII、利用者を対象にしたパートIII の標 準化作業が、それぞれ 2022 年末、2024 年末のリリースに向けて進められます。今後益々導入が進む自 律移動ロボットがより安全で信頼できるツールとして発展していくことに期待します。

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