見えてきた NASA の Return to the Moon計画 - Moon (Lunar) Gateway
NASAの Moon Gateway プロジェクトは、月の軌道上に恒久的な宇宙ステーションを建設するものです。その主な目的は月探査の中継地点として、また科学研究のプラットフォームとして、そして火星やその周辺への将来のミッションのテストベッドとして機能する予定です。
Moon Gateway は複数のモジュールで構成され、NASAのスペース ローンチ システム (SLS: Space Launch System) ロケットと Orion カプセルを用いて月軌道上に打ち上げられ、JAXA をはじめとしたJ国際的なパートナーの貢献も得て組み立てられます。最初のモジュールである電力・推進エレメント (PPE: Power and Propulsion Element) は 2024年に、次いで居住・物流アウトポスト (HALO: Habitation and Logistics Outpost) は 2025年に打ち上げられる予定で、ロボットアーム、エアロック、ドッキングポート、科学モジュールが含まれる予定です。
Moon Gateway には宇宙飛行士が最大 3カ月間滞在し、月面での実験やローバー、ランダーの運用、火星への長期滞在に向けた準備を行う拠点として活用されます。また、月や深宇宙の観測や、月面の材料を使って燃料や水などの資源を生産する「原位置資源利用」などの技術検証も行われます。
JAXAは Moon Gateway の主な居住・作業エリアとなる国際居住モジュール (I-Hab) を中心に環境制御・生命維持システムやバッテリ、熱制御、Imageryコンポーネントなどを提供する予定で、欧州宇宙機関 (ESA) により I-Habモジュールに組み込まれます。I-Hab は 4つのドッキングポート、他の Moon Gateway モジュールに接続するための 2つの Axialポート、貨物船と月着陸船用の 2つの Radialポートを備えています。
さらに JAXAは Moon Gateway に物資を運ぶための補給機 HTV-X の改良を検討中です。
また NASAとの協定の一環として、JAXA は将来的に Moon Gateway に宇宙飛行士を送る予定です。JAXA の Moon Gatewayプロジェクトへの参加は、有人宇宙飛行と探査に関する JAXA の専門知識と経験を高めるとともに、NASA や他の国々とのパートナーシップを強化することになります。
Moon Gateway プロジェクトは、NASAの Artemis 計画の一部で、2028年までに宇宙飛行士を月面に着陸させ、その 10年後までに持続可能な居住空間を確立することを目標としています。また、Artemis 計画では、月を足がかりに火星や太陽系内の他の目的地を探査することも目指しています。
Moon Gateway の最大のチャレンジは、人が常駐しないため自律的に運用できる機能が要求されている点で、より少ない地上からの遠隔操作で運用される必要があります。火星など将来のミッションにも大きく影響する Moon Gateway、楽しみです。