異なるメーカーのロボットを統合し運用管理するインフラ - AWS IoT RoboRunner
米AWS は昨年11月に開催された AWS re:Invent 2022 において、Amazon が自社の倉庫で利用しているようなロボットフリートを運用するために必要なフリート管理アプリケーションを構築するためのインフラを提供する新サービス「AWS IoT RoboRunner」を発表しました。AGV (無人搬送車) や AMR (自立移動ロボット) をはじめ、ロボットアームも含めた異なるメーカーが提供するロボットを運用している比較的規模の大きな企業をターゲットとしていて、様々なメーカーのロボットを統合するアプリケーションの構築やロボット アプリケーションのライフサイクル管理を支援することを目的としています。
AWS IoT RoboRunner は主に次の 4つの機能を提供します:
・多種の異なるロボットや制御システムとの接続
・ロボットを管理する上で必要なタスクなどのオーケストレーション機能
・AWS IoT RoboRunnber API を使ったアプリケーション開発
・集合体としてロボットを管理する統合ユーザー インターフェース
AWS IoT RoboRunner は Amazon が自社の倉庫で運用しているシステムがベースとなっており、このサービスを評価・運用できるのはとても魅力的です。
Amazonのフルフィルメント センターでも自社のロボット以外に多くの他社ロボットが評価・運用されています。多くの場合、各ロボットはそのメーカーが提供する独自の API や通信インターフェースが使われており、それぞれのロボットを統合された管理システムにつなぎ込む作業を個別に行う必要があります。
AWS IoT RoboRunner はこのつなぎ込みを行うためのライブラリとして Fleet Manager Library と Task Manager Library を提供しており、これらを利用することで AWS IoT RoboRunner が提供する相互運用システムにおいて異なるメーカーのロボットを一括管理することが可能となります。
AWS IoT RoboRunner はそのコア機能としてロボットの運用に欠かせない情報をレポジトリとしてデータベース化する機能を提供しており、①各ロボットやフリートに関する情報を蓄積するレジストリ、②フリート管理に欠かせないロケーション情報を管理するレジストリ、そして ③各ロボットのタスクを管理するレジストリが提供されます。これらの情報はロボットを運用する上で非常に重要な情報で、これらの情報がレポジトリとして一元管理される仕組みが提供されているのは大きな魅力です。
さらに AWS IoT RoboRunner では上記ライブラリで相互接続されたロボットに対して運用するたのアプリケーション開発環境(API) を提供しているのも魅力です。開発されたアプリケーションは Lamba Function としてデプロイできるほか、IoT Greengrass を使って各ロボットへのパラメーターの配信も可能です。
AWS IoT RoboRunner が使えるリージョンはまだ限られていますが、異なるメーカーのロボットの運用を考えている方は一度 AWS IoT RoboRunner を評価してみることをお勧めします。Amazon のフルフィルメント センターでのロボット運用のノウハウが詰まっており、AWS IoT RoboRunner を採用しなかったとしても異なるメーカーのロボットを導入、運用するライフサイクル マネージメントを検討する上でとても参考になると思います。
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