採用にはマーケット感覚が大事
私siso50は株式会社リブセンスで直近までエンジニア採用担当を勤めていました。
その間、特に苦戦したのが新卒エンジニア採用です。約2年にわたり関わってきたこのプロジェクトにて、感じた、マーケット感覚を持つ必要性について語ります。
マーケットを見ずに大失敗
シリコンバレーでは、失敗したことがない人は評価されないようです。それだけチャレンジもしていないのだから学びも得ていないという理由だそうです。ということで、(今も失敗続きなのですが)我々の失敗談から話を始めます。
一番の失敗はマーケットを見ていなかったこと。
数年前に超優秀なメンバーを大人数採用できた成功体験があり、「新卒採用うまくいく!」と思っていたのが幻想でした。
いや、幻想ではなく、その時は本当にリブセンスの競争力があったのだと思います。
しかし、エンジニア就職マーケットは瞬く間に形を変えていきます。
そこに対し、リブセンスが変化できなかったため、採用目標人数を下回る年が続いてしまいました。ということでマーケットを正しく理解することが、まず私がやるべきことでした。
マーケットを知るためにやったこと
下記を行いました。
・《マクロな調査》マーケット規模をフェルミ推定
・《ミクロな調査》学生へデプスインタビュー
前提として、新卒採用プロジェクトの概要にも触れておきます。
採用目標人数は数名、採用基準はおそらく業界内でも厳しい方で、特に思考力とカルチャーマッチを重視しました。一方、現時点での技術力は優先度を下げ、その後の伸び代を重視しました。
その過程でマーケット調査に着手しました。
《マクロな調査》マーケット規模をフェルミ推定
Webエンジニアとして就活する学生の総数と、その中でリブセンスが採用したい学生の総数を調査しました。調査の方法は下記情報筋から独立的に情報を集め、集計のうえ推定しました。頼った情報筋および集めた情報は下記です。調査対象は2020卒の学生です。
■頼った情報筋
・新卒採用サービス業者
・大学の就職課
・採用競合企業
■集めた情報
①情報筋ごとの
・学生の総数
・学生の就職先
そこに我々が持っている下記情報を統合します。
②情報筋ごとの
・リブセンスが接触した学生の総数
・上記学生のうち採用した/採用したかった学生の総数
・上記学生の就職先
集めた情報を統合し、学生総数、採用したい学生総数、採用したい学生の就職先を整理しました。
マーケット全体には約2000名Webエンジニアとして就活する情報専攻の学生がおり、その中でリブセンスが採用したい学生は80名程度存在しているようです。リブセンスはそのうち60%以上に接触できていた様子。
一方、採用したかった学生の就職先を調査したのが上記表です。過半数以上の就職先を調査できました。
接触はできているのにほとんどの学生がリブセンス以外へ入社を決めました。
そのうち74%メガベンチャーもしくは大手へ就職するという事実。
つまり、情報選考学生から採用するには、メガベンチャー/大手以外へ就職しないであろう残り26%(全体が80名なので21名と推定)から確実に採用しきるか、メガベンチャー/大手からパイを奪うかが必要ということです。
一方、青い海がある予感も・・・
上記表は、非情報専攻の学生でリブセンスが接触できた総数です。
こちらは、マーケットに採用したい学生がどれくらい存在するか推定できませんでしたが、少なくともリブセンスは昨年1名に内定を提示しています。
情報系学部所属学生へのアプローチ方法
情報系学部所属学生へのアプローチはこうなります。
・メガベンチャー/大手へ就職しない学生へ確実にアプローチ
・メガベンチャー/大手からパイを奪う方法を考える
・非情報系専攻の学生へのアプローチ
メガベンチャー/大手へ就職しない学生へ確実にアプローチ
メガベンチャー/大手を受けない学生を優先してアトラクトするということです。特別な何かをしたわけではないですが、面談の回数を増やしたり、インターンに招待したりしました。ここを頑張ったので、採用人数をリカバリできました。
メガベンチャー/大手からパイを奪う方法を考える
結論から言うと、ここは諦めました。効率が非常に悪そうです。
諦めるに至ったプロセスを説明します。
《まず学生を知ること》
社内にいるUXリサーチャーの手を借りて、学生へデプスインタビューをしました。10人くらいヒアリングすると新しい発見が少なくなるとのことだったので、採用したい学生10名へインタビューを行いました。聞いたのは意思決定の内容とそこに至る背景です。
《インタビュー結果をまとめる》
結果をまとめてみると、安心感と選択肢の多さが会社を選ぶ決め手なようでした。
働いたことがない学生には、仕事観がまだありません。だからこそ、未来への選択肢をふんだんに残しておきたいのだと思います。つまり、最初の就職先として選べる安心感といろいろな経験を積める選択肢の多さが進路決定の決め手でした。
その2つを短期間で作り出すことは難しく、直近の採用ではメガベンチャー/大手からパイを奪うことは諦めました。
非情報系学部所属学生へのアプローチ方法
情報系専攻学生のマーケットは、レッドオーシャンなことがわかりました。
しかし、我々の採用要件は、現時点の技術力を気にしません。過
つまり、非情報系学生採用に本格的に取り組めば、まだ未開の荒野が待っている可能性もあります。
そこで、予算を決めてR&D的にやってみようということになり、社内の有志エンジニアからも力を借りて下記プログラムを行いました。
その時のコンテンツはこちら。社内のエンジニアが公開してくれています。
参加した学生がブログも書いてくれました。
趣旨は、エンジニア経験が浅くても実務を通して立派に育てるというもの。選考を通過した学生を1ヶ月リブセンスへ招聘し、プロダクト開発を学んでもらいます。
やってみてわかったことは2つ。
・このプログラムのニーズはある(ほぼお金を使わず、80応募獲得)
・採用したい学生にもリーチできる
今回、採用したい学生からの応募を集めることができました。
一方、出口(実際に採用に繋がるの?)についてはまだ先の話。引き続き次なる可能性を模索していきます。
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