院内回帰しない3つの理由
【院内処方には戻らない、戻せない理由】
国策もあって、院外処方率が70%を超えた。
時を同じくして、日本は医療費の膨張という喫緊の課題を突きつけられている。
そこで、
「院外処方にしたから、
院内処方の頃より調剤技術料の分の負担が増えている」
という薬局をワルモノにしたてあげるメディアが大好きな勧善懲悪、
非常に水戸黄門的な結論になる。
では、ワルモノとして今の調剤薬局業務を病院やクリニックの院内処方に戻せるのか?
恐らく無理だ。
その理由は3つある。
「ヒト」「モノ」「カネ」だ。
【院内回帰しない理由①人手不足】
院外処方を院内に戻すためには人手が必要で、そのためには求人が必要だ。
ただ、一般的な時給では応募はない。
そうなると、
門前薬局でやっていた業務を丸ごと院内で行えるほどの人員が確保できるかと言えば、
恐らくノーだ。
人手不足の時代に院内回帰は現実的でない。
【院内回帰しない理由②在庫数】
院内処方で医師の指示のもと投薬を行っていた場合、
ドクターがよく使う薬のみを在庫して、
ロスが出そうになればうまく調整しながら処方していただろう。
ただ、院外から院内処方に戻ると、
下手すると1200品目以上もの薬剤の管理を
クリニックであれば非資格者が行うことになる可能性がある。
これは確実にインシデントに繋がり、重大なミスが遅かれ早かれ発生する。
ロスも発生する。
品目数が評価されてきた門前薬局の在庫を院内でそのまま採用すると、
現場が大混乱する。
これが院内回帰できない理由その②だ。
【院内回帰しない理由③金】
避けては通れないお金の話。
院内処方に戻せば薬価差益は大きな収益となってくるが、
今卸業界としてはなかなか数字は出せない状況。
消費税アップも待っている。
また1200品目以上の在庫を抱えることによるキャッシュフローの悪化も考えられる。
つまり、病院やクリニックにとって、院内で在庫を持つことはリスクしかない。
維持管理コストが簡単に薬価差益を上回る。
これが院内回帰できない理由その③だ。
ここまで、院内回帰できない理由をかいてきた。
恐らく、大半の方に納得いただける内容だったかと思う。
にも関わらず、国は医薬分業を否定し、院内回帰を匂わせる。
「院内に戻してもいいんだよ?って言ったよね?」
「改訂で点数下がったの?院内に戻るよりマシでしょ?」
そんな言葉に屈することなく、
日々顧客に求められることを淡々とこなしていれば、
評価されることもあると思う。
強者がより強くなるストーリーより、
弱者が強くなっていくストーリーの方が素敵だ。
そんな人生を歩めたらと思う。
きっと、大丈夫。
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