#11. 誇りをもって仕事がしたい
河合電器製作所の入社日に「おはようございます!」と元気のいい大きな声が響き渡り、ネクタイをきっちりとしめたスーツ姿の人が事務所に入ってきた。いらっしゃいませ、と多くの人々が彼のほうを振り向く。そこにいた社員たちに「いいから、いいから、社長の息子だから」と言いながら、親父の従兄弟であった常務は、私を打ち合わせテーブルに導いた。
いきなり、課長職に相当する「副工場長」なる肩書きが私に付けられた。まずは生産現場で、ものづくりについてイチから学ぶことになった。熟練のパート社員から細