上原伸一

上原伸一と申します。2001年からライターになり、野球を中心にスポーツを幅広く取材。現在は主にベースボール・マガジン社の媒体や、朝日新聞社「4years.」、「NumberWeb」、「ヤフーニュース個人」などで執筆しています。noteではスポーツにとどまらず投稿していきます。

上原伸一

上原伸一と申します。2001年からライターになり、野球を中心にスポーツを幅広く取材。現在は主にベースボール・マガジン社の媒体や、朝日新聞社「4years.」、「NumberWeb」、「ヤフーニュース個人」などで執筆しています。noteではスポーツにとどまらず投稿していきます。

最近の記事

小学期のスポーツで必要なもの

伝統ある小学生の駅伝大会が、指導や勝利至上主義の過熱によって中止になった記事を見た。これはたまたま駅伝大会のことだが、学童野球やミニバス、バレーボールでも、似たようなことがしばしば起きていると聞く。 スポーツ指導には正解はない。いろいろな考え方があろう。ただ小学期においては「過ぎたるは猶及ばざるがごとし」だと思う。小学生の子供はなかなか自分から「できない」とは言えない。少しくらい変調があっても、その場に行けば忘れてしまうし、友達や仲間が参加しているのに、自分が置いてけぼりに

    • <高校野球の名監督も学校組織の一員>

      先日、「ベースボール・クリニック」という専門誌で、報徳学園時代に甲子園で23勝を挙げた日大三島の永田監督を取材した。 本題を離れた雑談の際、永田監督はこんな話をしてくれた。 「赴任したばかりの頃、ユニフォーム姿で職員室にいると、同僚の先生から  『遠く(兵庫)から来られたそうですね。永田先生は野球が本当にお好きなんですね』と言われましてね(笑)」 その先生はさほど高校野球に関心がなく、永田監督が名将であることも、日大三島の甲子園出場を託されてやって来たことも知らなかったよう

      • ちょっといい話。スポーツとは自分と向き合うこと

        群馬のある公立中学の陸上部の話です。そこに砲丸投げの女子選手がいました。砲丸投げを専門にしていたのはその子だけ。他の選手が校庭を走っている間、1人黙々と、中庭で砲丸を投げていたそうです。生徒が通れば、一時中断。練習を始めるのも、終えるのも自分の判断です。投てきを教えてくれる先生もいなかったので、もっぱら自分でフォームを勉強したそうです。 「なにやってんだ!」とゲキを飛ばされる指導者もいない一方で、気を抜いても、さぼっていても誰も何も言わない。毎日が自分との戦いです。 こう

        • 厚底ランニングシューズは諸刃の剣

          市民ランナーにも浸透している「厚底ランニングシューズ」。 ですが、その推進力は諸刃の剣の側面も。高校時代まで厚底を履いていない子がいきなり履くと、思わぬケガにつながるようです。 厚底ではどうしても、それまで使わなかったところに負担がかかります。ギアはアスリートにとって、「流行りのモノ」ではありません。その特性をよく理解しなければいけない。 青学大や東海大などでは厚底に対応するためのフィジカルトレーニングにも力を入れていますが、新入生、それも高校時代に都大路を走ったような

          アスリートも歯が命

          かつて「芸能人は歯が命」というCMがあった。人に見られる職業は歯で印象が変わる、ということだろう。 若い選手に取材すると一様に歯並びがきれいだ。スペイン戦で決勝ゴールを決めた田中選手もしかり。それだけ子供の歯に気を遣う親御さんが多いということだろう。 学生時代、アメリカでホームステイをした80年代、歯列矯正をしている子供が多く驚いた記憶がある。当時、日本ではまだ稀だった。 時を経て、日本もすっかり歯や歯並び対する意識が高くなった。アスリートのみならず、若い人には歯並びが良く

          アスリートも歯が命

          常総学院の取材で感じた「強さの秘密は細部に宿る」

          一昨日、指導者向けの専門誌「ベースボール・クリニック」(ベースボール・マガジン社)で常総学院の島田直也監督を取材した。本題についてはこちらでお伝えするが、ここでは取材で感じたことを記したいと思う。 3人同時で投げられるブルペン。私はここでである光景を目にした。 投球練習が始まる前、立ち投げにも関わらず、捕手がバッターボックスのラインをきれいに引いていたのだ。 当たり前?確かにそうかもしれない。 ただ、私が知る限り、投球練習のたびに、まるで試合開始の時のようなきれいなラ

          常総学院の取材で感じた「強さの秘密は細部に宿る」

          慶應義塾大学の清原正吾選手が早慶2回戦でリーグ戦デビュー

          私は今秋も朝日新聞から取材パスを出してもらい、東京六大学リーグに関する記事を「4years.」で書かせてもらった。 そこでは書けなかった、慶大・清原正吾選手のリーグ戦デビューのことをここに記したい。 一昨日の早慶2回戦の5回裏。慶大の清原選手が代打に登場すると2万2千人の観衆がどよめいた。これがリーグ戦初出場である。 前日の会見、この日からベンチ入りをさせた理由として、慶大の堀井哲也監督は「この1、2か月で一番ホームランを打っている。守りもいい」と話している。ただし「出

          慶應義塾大学の清原正吾選手が早慶2回戦でリーグ戦デビュー

          Yahoo!ニュース個人の投稿で10月の月間MVA(Most Valuable Article)になりました!

          「Yahoo!ニュース個人」のオーサーになって              3本目の投稿となるこちらの記事がhttps://news.yahoo.co.jp/byline/ueharashinichi/20201023-00204390/    10月の月間MVAに選ばれました。プロ野球でいうところの月間MVPのようなもので、数多くの記事から選ばれる5本に入ったのは本当に光栄だと思っています。                              常日頃から、PVが全てでな

          Yahoo!ニュース個人の投稿で10月の月間MVA(Most Valuable Article)になりました!

          目には見えない力が勝利を後押しする―。あらためて実感した試合

          「いけるんじゃない」 「勝てるよ、絶対勝てる」 今年の高校野球、東東京大会の決勝。私は取材で大田スタジアム(写真)に来ていた。試合は9回裏に帝京高校が追いつき、延長戦へ。インターバルの間に用を足そうと席を外すと、トイレから通路まで響く、威勢のいい声が聞こえてきた。声の主は帝京高の応援席にいた3年生たちだった。 その声を聞いた瞬間、私も(帝京が勝つのでは)と予感めいたものが走った。彼らの声がチームの一体感を示していたからだ。 よく勝因の1つとして「スタンドとベンチの一体

          目には見えない力が勝利を後押しする―。あらためて実感した試合

          高校野球の「目的」を問う機会になった甲子園大会の中止

          今年は新型コロナウィルスの影響で、夏の甲子園大会が中止になりました。そのニュースは大きく報じられたので、高校野球に関心のない方でもよくご存知かと思います。 夏の風物詩である甲子園がなくなる―。辛い事実は世間を騒がせ、それぞれの立場から、いろいろな見解が出てきました。「球児たちがかわいそう」「インターハイも中止になったのだから、甲子園の中止はやむを得ない」「なぜ高校野球ばかり特別扱いするのか」「人生は長い。甲子園が全てではない」などなど… こうした中、私は当の球児たち、特に

          高校野球の「目的」を問う機会になった甲子園大会の中止

          「Yahoo!ニュース個人」のオーサーになりました。

          このたび「Yahoo!ニュース個人」のオーサーになりました。こちらでは「アマチュア野球のいま」と題しまして、少年野球、中学、高校、大学、そして社会人と幅広く、アマチュア野球の旬のことをお伝えしていくつもりです。 昨日公開になりました第1回目の投稿では、コロナ禍で8月に行われた東京六大学野球「春」のリーグ戦で応援ができなかった、東大の応援部を取り上げさせていただきました。 宜しくお願いいたします。

          「Yahoo!ニュース個人」のオーサーになりました。

          ブックカバーチャレンジを機に本について考えてみた

          ブックカバーチャレンジのお鉢が回ってきた。ステイホームやテレワークで対面でのコミュニケーションの機会が減ったからだろう。このところ、SNSを通じて、〇〇チャレンジや○○バトンといったものがよく行われているようだ。これについては賛否両論があると聞くが、ブックカバーチャレンジを機に、本について考えてみた。 さて1冊目は何にしようかな?ブックカバーチャレンジの指名を受けて、まず書棚を見た。読書家とまではいかないが、子供の頃からわりと本は読む方で、いまも仕事部屋の書棚にはぎっしり本

          ブックカバーチャレンジを機に本について考えてみた

          プレー中の不慮の事故で亡くなった野球選手のこと

          ずっと書きたいと思っていた選手がいる。 いや、書かなければと思っていた選手がいる。 元早稲田大学野球部の東門明さんのことである。 この名前にピンときた人はかなり古くからの野球ファンか、大学野球の関係者に限られるだろう。東門さんは早稲田大学2年時(1972年)に出場した第1回日米大学野球の試合中の事故が原因で亡くなった。前途洋々の未来が待っていたはずの東門さんは19歳の若さで人生の幕を閉じた。名門・早稲田で2年春からレギュラーになり、ただ1人の2年生として大学日本代表入り

          プレー中の不慮の事故で亡くなった野球選手のこと

          ランニングのこと。その1

          テレワークが推奨され、在宅で仕事をしている人、つまり自分で時間を管理しながら働いている人が増えたからだろう。このところ平日の昼も走っている人をよく見かける。他のスポーツがほとんどできない事情がある中、運動不足解消に走り始めた人もいるかもしれない。ただその表情は険しく感じる。ストイックに走っている、というのとは違うような…状況が状況なので無理もない。早く以前のように、心から楽しみながら走れる日常が戻ればいいと、つくづく思う。 かく言う私もランナーである。走歴だけは長く、ランナ

          ランニングのこと。その1

          原宿・マロン洋菓子店のこと

           不要不急の外出自粛が要請されている。人出の様子がたびたびテレビのニュースに映し出されているのが、原宿の竹下通りだ。今も昔も若者のメッカである。私は学生時代、この竹下通りを足繁く歩いた。明治通りとぶつかったところに「マロン洋菓子店」という古くからの洋菓子喫茶があり、そこでアルバイトをしていたのだ。始めた当初は運転免許の教習所に通うお金が貯まるまで、と短期のつもりだったが、良縁だったのだろう。大学生活の半分に近い、1年7カ月も働いた。蛇足ながら、時給もスタート時点では530円だ

          原宿・マロン洋菓子店のこと

          初めての取材のこと

          取材をして書く。これを生業としている。2001年からだから、今年で19年目になる。カテゴリーはスポーツ。大谷翔平選手といった誰もが知る有名どころから一般の市民ランナーや学童野球の子供たちまで、幅広くスポーツに関わる「人」を取材してきた。いったいこれまで何人の人から話を聞いただろうか。取材対象者とコミュニケーションをして、表情や仕草を見ながら、言葉を拾う。言ってみれば単純な作業であるが、私にとっては幸せな時間だ。学びの時間でもあり、時に相手の人生に入っていける時間である。 そ

          初めての取材のこと