音響だッピ!(仮題)

どうも!劇団森4年代(でした)佳田紫音です。今回の公演では音響を担当しています。

とりあえずの仮題として設定していたらなんかこのまま公開されてしまったので、(仮題)までを本題としたいと思います。
佳田(かだ)と、仮題(かだい)。わははは。

1年代の頃、音響の先輩方が本公演でチーフを切る姿を見ていて、私も3年後はああなるのかな、なれるのかな、と密かに思ったことを覚えています。

どうやらここまで来たみたいです。来てしまったみたいです。思えば遠くへ来たもんだ…。

・音響のたいへんなところ

若干制作をパクっている気がしますが(すみません)、まず音響のここが大変だよ!という話をしたいと思います。だって音響の話いっぱいできるところってなかなかないんだもん!

※これは私個人のもので、音響やってる人全員に共通するものではありません※

【ラインチェック】

音響は、パソコンやサンプラーなどの音を出す機械→ミキサー→アンプ→スピーカーの順で繋いで音を出します。小屋入りして機材をとりあえず繋いで、「音が出るか」を確認するのがラインチェックという作業です。これができないと本番どころの話ではないので、めちゃくちゃ大事。

でもこれ、1発で鳴ってほしいように鳴らないものです。笑

ケーブルが断線していたり(これが1番多いかも)、アンプやミキサーにトラブルが起こってしまっていたり、その他諸々。ミキサーのミュートを解除していないとかフェーダー上げてないなんて初歩的なミスも…あります…うっ…。
最初に音を流すまでは毎回怖いし、原因がはっきり分かるまでも毎回ドキドキです。
なんなら寝てる間に見えない力でケーブル断線してたらどうしようって毎朝ドキドキしています。


【オペレーション】

今回、言ってしまうと私本番でバチボコにミスったんですよ…オペを……………。
映像で残るものを作るのであれば、そりゃあもう間違えてはいけない。論外です。今回は本番一発録りだったので尚更です。
けれど、お客様がいらっしゃる時ももちろんそれは変わらなくて。
そのお客様にとっては1回限りの観劇かもしれない、だからその"1回限り"を大切にするために、間違えてはいけない。
音が鳴らなかったりトチったりすることを「それも演劇だね」と私はどうしても思えなくて、というか思って慢心してしまったら終わりだと思っていて、だから些細な間違いもとっても反省します。

でも人間は間違えるんですよ………………………………………。

常に本番は色んな意味で緊張感との戦いです。緊張しすぎてもまあいけるやろと思っても間違えます。コロナや就○活動であまり演劇に関われなかった期間を除くとだいたい2年?くらい音響をやらせていただきましたが、未だにドキドキしています。
私にとっては音響って、結構ドキドキするお仕事なのかもしれないです。


・音響のたのしいところ

【本番が観れる!】

いやまあ、それはそうなんです。オペやる人が本番観なくてどうするよって話です。でもこれ、コロナ禍に入ってからいいところだなってすごく感じています。同じく本番を見届けることのできるセクションの方もそう思っていたら嬉しい。

今回の本公演の延期の決断をするときも、きちんとみんなの姿を卓から見届けよう、そしてその本番を最高のものにする一助になろう。そう決心したことを覚えています。

本公演、めちゃくちゃ面白かったです。

【なんだかんだでオペレーションは楽しい】

難しい!難しいです、オペ。
でも、その分上手くいった時はすごく楽しいです。あと、達成感もすごい。
その楽しさを感じるためにオペやってるまであるかもしれないです。それを知ってしまっているから、そこに病みつきになっている…というか。
ただ難しいよ〜間違えるの怖いよ〜😭だけだったらやってないと思います、多分。

【場当たりで初めて音を合わせた時の感動】

これは照明さんや役者さんや演出さんにもあるものなのかもしれない。あったら嬉しい。(2回目)
今までは稽古場で、蛍光灯の下でBluetoothスピーカーや口頭で音を出していたのが、舞台の上で本番の音や光と初めて合わさるのが場当たりだと思うんです。というか実際そう…であることがほとんど、のはず。
場当たりは、「あ、演出さんはこれを作りたかったんだ!」ということが可視化された瞬間だと思っています。それを作れる一員になれることにハッピーを感じます。
逆に可視化されたことで、(用意してきた音は解釈違いなのでは…?)となって修正することもままあります。もちろんタイミングの修正もあるし、曲やSEの追加削除をいただくことも。
でもそうやってプランを本番に向けて詰めて行く作業は、私の中では大変さよりも面白さの方が勝っています。これもまた、面白い・楽しい・好きって思えてなかったらきっと私は音響やってないであろうポイントです。
小屋入りのアドレナリン効果と、どんどん作品を好きになっていく効果か…?

・さーて、今回の音響は?

4/12 映像公開後バージョンにトランスフォームしました。ネタバレ注意!

【1幕】

1幕は、多分この公演の中で1番色んなジャンルの曲が登場してる、気がする。選曲に関しては演出さんのnote読んでそういうことか〜!!!!ってなったので詳しくは演出さんのnote読んでください(すみません…)。
時代も国境もジャンルも全力で超えていく、この本公演の概念が詰め込まれているなって思ってます。
なかでも1番音響的にお気に入りのシーンは、ズバリ!中盤!ウズメがパソコンの中の世界に出会うシーンです。

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𝓢𝓸 𝓬𝓾𝓽𝓮…  
(撮影:コトデラシオン様)

場当たりで初めてやった時「かわいい!」って思わず声に出てしまったくらいかわいくてお気に入りです。もう音楽のチョイスも照明も演出も全てがかわいい。
ウイルスバスターのSEもっと足したいなって思ってたら演出さんから足してほしいって言われてワーイってなった。すぐ足した。もっとかわいくなった。

そしてピアノの音源に合わせた生演奏シーンなんかもあって。大人数で劇中で合奏するって普段はなかなか見れないものだと思います。
同時に、昔操作で参加したママママリファナ☆ミミミラクル(未だに大好き作品)のとあるシーンを思い出すところでもあります。懐かしいな〜!!チャカポコ隊!!
卓からだともはやセリフが聞こえなくて、まさしく崩壊!って感じだったんですが、映像さんの集音マイクの位置ゆえか結構セリフも聞こえますね。

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崩 壊
(撮影:コトデラシオン様)

だんだん重なっていく合奏も家庭崩壊の顛末も、全て見届けていただければ嬉しい限りです。


【2幕】

2幕では、マイクが3本登場します。どん。

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こちらは本番前のアップでも大活躍で、みんなこれを使って熱唱してくれていました。
(※マスクをした状態で使用し、使用後には毎回消毒をしていました。稽古、及びゲネプロ・本番においても、使用後は消毒の上で次に使用する出演者に渡す、または音響卓へ返却することを徹底していました。)
楽しんでくれていたら嬉しいなあ。

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楽しそうな人達
(撮影:1枚目 倉田そら / 2枚目 コトデラシオン様)

そして2幕内ではピアノの生演奏もありました。こちらもケーブルを通してミキサーに繋ぎ、スピーカーから音が出るようにしました。写真撮り忘れた…。
ピアノについては「電子ピアノならワンチャン繋げば鳴るんじゃね」という安直すぎる発想で、賭けみたいなところがあったので、実際繋いで音が鳴った瞬間はだいぶ感動しました。
演劇中に、電子ピアノ、使えるぞ………!

そしてスピーカーについても、歌ったり演奏したりする役者がその音を聴きやすいように、

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ライブハウスとかだとよくある、いわゆる「返し」のスピーカーを舞台ツラすぐのところに置きました。

でも、ただマイクを使えばいいというわけでも、音が聴こえるようにすればいいというものでもなくて。大きすぎるとか小さすぎるとか、音量のバランスとか、色々と試行錯誤の連続でした。それこそバンドや、おそらくミュージカルのオペレーションにも近いものがあった…気がしていて、その経験値は私にあるものではなくて。正直とても難しかったです。

そんな中でも本番では1番音量のバランス的には上手くできた…のでは…?と個人的には思っているのですが、ど、どうだろうか…。
これはもう今まで経験した全ての映像演劇にいえるのですが、映像を介すとやっぱり聴こえ方も変わってきてしまうので、難しいな…と思うばかりです。

SEは演出さんから「アメコミっぽく」という指定を受けていて、なので結構コミカルなもので統一しています。これがまためちゃくちゃ雰囲気に合うんだ〜!!!!演出の力すげ〜!!!!!
「んな早く来るわけねえだろ」なタイミングで鳴る消防車が結構お気に入りです。

2曲ほど曲も自由に選ばせてもらいました。洋楽には明るくないので、日本のアーティストの中でもアメリカっぽく聴こえるんじゃないか…?という楽曲を選びました。
そしてブロードウェイ裏通りウェザー(ラジオ)のジングルは、初めてテレビで見た時からずっと日本版を観に行きたかったけどついに叶わなかったとあるブロードウェイミュージカルの曲を使っています。私の中でのブロードウェイのイメージかつ、悔しさの供養、みたいな。
いつか本場に観に行きたいです。

あとはミミコの歌!この編集も結構楽しくやらせてもらったところです。
まず神々しさを出したくてやりすぎなくらいエコーをかけ、非現実感が欲しかった&もっとキラキラさせたかったのでわざと機械的に(言い方を変えると何も考えずに)ウィンドチャイムの音を重ねました。なので若干不協和音っぽくなってるところもあるような。
神々しさ、夢を見させる力、出ていたでしょうか…?
ミミコ is god。(たぶん事実)

【3幕】

3幕は、音響的には?にも?1番「本公演らしさ」が詰め込まれているのではないかなと思っています。殺陣!爆裂崩壊音!その他もろもろ!みたいな。
というかいきなりタイムマシン入ってきてバックトゥーザフューチャー流れ出すだけでも、めちゃくちゃ本公演じゃないですか!?
"劇団森の本公演"をご存知の方には、観たらわかっていただけるような気がします。観てください。

みんな大好き埴輪のシーン。┗|∵|┓
埴輪登場ドンドコ太鼓のSEは、補佐のマロ(あべゆな)がソフトで作ってくれました。打ち込みってすごい…。
意外とあんな感じのSEって見つけづらかったり、調整が大変だったりするので、めちゃくちゃ助かりました。
他にもいっぱい集めたり作ったりしてくれて本当にありがとう。音響の未来は明るい。

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(撮影:コトデラシオン様)


直後のウグイが扉蹴破るところ。蹴破るSEも結構本番ギリギリまで悩んで、結果力強い「ドン!」といった音になりました。Mの入りと重なってしまうのでは…と思っていたものの、これはこれでMの入りがよりかっこよく印象的にもなるからいいのでは?みたいな結論で。
実際に本番ではかっこよく決められた!と!思っています!
埴輪こそ爆笑で終わりますが、その後ちょっとシリアスが続くので。その転換の象徴…にもなってたらいいな!

あと、天使が出てくるところのMは「爆音」と台本にあって。かつ、「もっとデカくていい」と指示をもらったので結構とんでもない音量で入れています。
それが実際映像で見たら照明も合わさってめちゃくちゃ綺麗かつ残酷な仕上がりになったので、演出って、すげぇ…………となっておりました。

今回、音響ソフトに打ち込んでいたきっかけが約300個くらいあったのですが(普通の70~90分公演だと大体40~60個くらいです)、その半分くらいが3幕でした。すっげえや。

そんな、もはや音が鳴ってない時間の方が少ないレベルの3幕、最後までお楽しみいただければと思います。強引にまとめてしまった。


余談ですが、全幕で謎にスローモーションシーンあるのが面白くて好きです。


・お礼のコーナー

今回の公演、多分私一人では音響をやり遂げることはできませんでした。

全てが「わからないッピ…」状態だった私の相談に乗ってくださった先輩方や業者の方、それぞれの生活やタスクがある中で効果音をたくさん、的確に集めて作ってくれて、仕込みバラシを迅速に終えてくれた補佐のみんな、「こういう音が欲しい」という指示を明確にくれた各幕演出さん、場当たりや返しにお付き合いいただいた役者のみなさん。

みなさんあってこそ、私は音響チーフとして小屋にいられました。
本当にありがとうございました!!!

そしてアップを回す元気さえも失いかけていた私の代わりに快くゲネのアップを回してくれた森4年代(だった)音響の片割れも、ありがとう。結局最後の最後まで頼ってしまってごめんなさい。
でも、結果論だけど、最後に2人ともアップを回して終えられてよかったなって思っています。よかったって思ってくれていれば嬉しいです。
あの時のアップのみんなの様子を見て、よーし本番のアップ頑張るぞと思えた気がしています。本番のアップ、ラブジョイでみんなが泣いていたのがすごく印象深く残っています。笑


・おわりに

とある授業の最初の問いで「演劇に必要な要素は?」ということを聞かれたことがあります。なんて書いたっけ。

私は正直、演劇に音響は必要不可欠とは言えないと思っています。音響なのに。

音楽がなくても、効果音がなくても、演出次第でいくらでも演劇は演劇として成り立つ。成り立たせることができる演劇は確かに存在する。そう思っています。

でも、劇団森の本公演には音響が必要不可欠!です!
だってあんなに役者さんがいて、すごいスケールの美術があって、びっくりするほどの灯体が吊られていて、いくつもの大道具小道具があって。そこにはどどーんと、音響もあるべきだと思うんです。
そして、今回音響は演出の1つとして必要とされている。それを強く感じました。それに応えないと、と思いました。

そんな感じで、「本公演には音響が必要不可欠」だって証明するために、どどーんと音響、頑張りました。


このnoteの最初にはあんなこと書いてましたが、1年代の頃、私は音響チーフが切れる気がしませんでした。 
ましてや3年後の本公演でチーフを切っている姿なんて想像もつきませんでした。
正直なところ、ミキサーのインとかアウトとか一生わかんねえわなんやこのケーブル類とか思ってたし、八の字巻きができなくて半泣きで何度もやり直してたし、脚立には若干の恐怖心を伴いながら登っていました。

そんな私も、チーフを務めるのはどうやら8回目だったみたいです。
ケーブルのことはいつの間にかなんとなくながら分かるようになってたし、八の字巻きはなんかできるようになってたし、脚立もいつの間にかほいほいと登れるようになっていました。

コロナにその機会を奪われた公演でも、チーフを務めさせていただく予定はありました。やりたかったなー!って、今でも思ってます。

でもその気持ちも、本公演を通して昇華させた…つもり!

悔いなし!…とは言い切れなくて、もっとできたのに、できたはずなのにってことはプランにもオペにもいっぱいあって。
色々な意味でもう1回本番やりたいけど笑、そんなことも言っていられないので。
公開されたら、たくさん愛していただけると嬉しいです。

なんか加筆修正を繰り返していたらアホ長記事になってしまった。
お読みいただきありがとうございました!

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