月夜
「今夜22:00地球は月と衝突します。残りの人生をお楽しみ下さい」
テレビから流れてきた声を聞いて僕は君の元に走り出していた。
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今日も君の机の周りには沢山の友達がいて、楽しそうに話をしていた。君以外のうるさい人間が全員死んでくれたら、僕と君はずっと2人きりになれるし、月を見ながら「月が綺麗ですね」なんて洒落た会話もする事ができるんだろう。なんて考えながら僕は1人机で寝たふりをしていた。
君を好きになる前は君の目の前で普通に話せたのに今の僕にはそれができそうにない。
家に帰って僕は今日も君の曲を書いていた。
すると、テレビからこんなセリフが流れてきた。
「今夜22:00地球は月と衝突します。残りの人生をお楽しみ下さい」
怖いとか嫌とかの前に、君に会いたいと思った。
どうせ終わるのが命なんだ、これはチャンスだと思った僕は君に電話をかけていた。
「久しぶり、最近静かだね」
「君の周りがうるさいだけだよ、ねぇ、今夜歴史上で一番大きく月が見えるらしいんだけど一緒に観にいかない?」
「いいよ、いつものあの公園で待ち合わせよう」
そこを選ぶなんて君らしいなと思った。
少し遅れてきた君の目は赤く腫れていた気がした。会話もせずに2人でよく遊んだジャングルジムに登って段々と大きくなる月を見ていた。
「ねぇ、私あなたの事がこの世で1番」
その先の言葉はもう聞こえなかったけど、口の動きでその3言は何となく分かった。
「好きよ」
この2人の関係がこの地球のように終わってしまわない事を僕は夢に見ていた。
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