ニコライエワ ショスタコーヴィチ
24の前奏曲とフーガ
一番から四番
綾部(以降あ):この始まり方もバッハの平均律の一巻をかなり意識してますね。バッハの時代に平均律音階っていうのができて、それがかなり普遍的な美の型に当てはまるということで、バッハが書いて、それが常にお手本になっているということです。日本ではドイツロマン派から入ってきたマニュアルのせいか、平均律は練習するための曲という感じなってますが、僕がフェインベルクの演奏で聴いているものからすると、練習する曲ではなくて、最も完成度が高いピアノ作品という感じですね。まともな人たちはこのバッハの平均律に挑戦して、バルトークはミクロコスモスという全六巻で百五十何曲にわたる作品集を書いたり、ショスタコーヴィチも24の前奏曲とか書いてるんです。複数の曲の展開を聞くという楽しみ方が、ラフマニノフとは正反対ですね。一番は思ったよりも長くて五分弱ぐらいあります。明るい長調の曲をたっぷりゆったり聞かせるんだけど、二番に入ると音符の数がブワッと出てきて、しかも単調なんで、すごく刺激が強いんだけど、そのぶん、曲の長さが短くて、二分くらいになってしまうんです。そういうところが面白いんですよね。
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