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若木信吾の「つかずはなれず」写真講座

写真家の若木信吾です。 写真に関するあれこれです。写真家たちのインタビューや、ちょっとした技術的なこと、僕の周辺で起こっていること、それらについて考えていることなど、ざっくばらん…
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2020年10月の記事一覧

Episode #6 ロチェスターのベトナム料理

Episode #6 ロチェスターのベトナム料理

写真集「Things and seen」いよいよ明日金曜日発売です!!! 神保町のSUPER LABO STORE TOKYOで夕方からレセプションがあるのでぜひお立ち寄りください。

 30年ぶりに戻ったロチェスターで、最初の夜に行った店は全く馴染みのない、ネットで検索した中華の人気店だった。こじんまりとした店構えと、味は悪くないが、込み合った夜のレストランにひとりで食べに行くのはいつでも気がひ

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Episode #5

ナショナルシティ

Episode #5 ナショナルシティ

 スーパーラボからいよいよ今週末に出版される新写真集「Things and seen」に入っている写真たちのエピソードを綴る第5回目はナショナルシティについて。

 去年、2019年の三月に訪れたサンディエゴの大きな目的は映画「TOTEM Song for home」のUCSFでの上映会だった。UCSFの教授を務める宮尾大輔さんが、その時アジア映画について教えていた流れで、日本人が撮った台湾のドキ

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Episode #4 幽霊の写真

Episode #4 幽霊の写真

 2019年は井上円了先生a.k.a妖怪博士の没後100年だったそうだ。この写真を撮ったのはその10年前の2009年のこと。井上円了先生が中野に作った哲学堂というものがあって、その入り口は哲理門という。その哲理門の両脇には木で作られた幽霊と天狗の像が奉納されている。現在はレプリカに変わってしまっているが、僕が撮った当時は結構痛んだ状態であったが、オリジナルが置いてあった。

 円了先生は明治の頃、

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EPISODE #3 サンディエゴ、ジェリーの家

EPISODE #3 サンディエゴ、ジェリーの家

 2019年の3月、 詩人のジェローム ローゼンバーグ氏のお宅を訪ねた。詩人の伊藤比呂美さんが住んでいた家の目と鼻の先にあり、奥さんのダイアンさんとふたりで住んでいる。彼らは同じ87歳、とても元気だ。今日は大ちゃん(今回UCSDの大学院のレクチャーで呼んでくれた宮尾教授)が、インタビュアーだ。ジェリーさん(ジェロームさんの略称)の家は住みはじめて40年経つということだがとても綺麗な外観とインテリア

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新写真集「things and seen」いよいよ今月末リリースです! エピソードNo.1

新写真集「things and seen」いよいよ今月末リリースです! エピソードNo.1

 今回の写真集には文章がついていません。リストをご覧になっても分かる通り、場所も年代もランダムです。これってなんなんだろう、と思うかもしれません。それでも成り立ってしまうのですから写真集って不思議ですよね。

 イメージは詩のように作った人の経験を超えて、それを見た人それぞれの記憶に関わる鍵のようなものになっていることが多々あります。映画の断片が、ストーリーとは関係ない自分の記憶を急に引き出してし

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