加賀恭一郎シリーズ
加賀恭一郎シリーズ
それは、東野圭吾さんの著書が好きな人には避けて通れない道である。
そして、読んだ人はほとんどが、そのシリーズに傾倒することになるであろう。
このシリーズの面白いところは、途中から作風が変わると言っても過言ではないところである。
まず「卒業」
これは、後にこのシリーズを引っ張っていく加賀恭一郎が探偵役となり、
事件の真相に迫っていくものだ。
しかし、読んでいると必ずしも主人公とは言えない。
どちらかというと交際相手(名前忘れた)の一人称でストーリーが進んでいくことが多く、寡黙で真面目な交際相手として描かれている。
しかもこの作品、(加賀と交際相手を含む)大学生グループが中心なのだが、
そのグループの中で連続殺人事件が起きるという衝撃的な内容だ。
終わり方も良い。
冷静で明晰な加賀恭一郎が探偵役として、犯人と真相を暴いていくわけだが、
これがこんなにシリーズ化されるとは、著者の東野さんも思っていなかったのではないだろうか。
そのままこの後、
「眠りの森」
「どちらかが彼女を殺した」
「悪意」
「私が彼を殺した」
「嘘をもうひとつだけ」
「赤い指」
「新参者」
「麒麟の翼」
「祈りの幕が下りる時」
「希望の糸」
「あなたが誰かを殺した」
と、まだまだ今後も続きそうなシリーズになっていくのである。
しかし、冒頭でも書いたように、このシリーズ、途中で作風が変わるのであーる笑。
6作目の「嘘をもうひとつだけ」までは、
まさに王道ミステリーという感じで、
読者もどちらかというと犯人探しに勤しむ感じ。
登場人物の背景をしっかりと描写しながら、それでも加賀恭一郎が細部から事件の真相に迫っていく姿を丁寧に描いてくれます。
面白いのは、加賀恭一郎そのものにスポットが当てられないところ。
あくまでも一人称は別人で(たまには加賀が一人称の場合もあるが)、周辺人物の内面の描写から、加賀恭一郎が何回も会いにくることで、
真相に近づいていることがわかっていく。
もちろんやり取りの中で、後に出てくる加賀恭一郎自身の思いや、仕事にかける情熱を感じることはできるけれど、
あくまでも「事件の真相は?」というテーマで一貫している気がする。
状況が一変するのは「赤い指」以降である。
「家族」と「嘘」がテーマ??
ここから先は「家族」と「嘘」がテーマになっているのではないかと思う。
加賀恭一郎の内面をフォーカスしていくわけではないが、
ある家族が中心となって描かれていくのと、それに関わる加賀刑事の熱さが、明らかにそこまでとは異なるのだ。
単純に言うと「体温」を感じる。
ここまでは事件の周りに溢れた小さな破片を拾って、
答えがわからないところからジグソーパズルを完成させていくようなイメージ。
この「赤い指」からもそれは変わらないのだが、
そのジグソーパズルをどこに飾るのか、誰に見せるのかというところまで考えて、捜査をしているイメージ。
読み手の心の奥にグッとくる
それは、単なるミステリーを超えた一面を見せてくれるのだ、ありがとう。
この後の「新参者」、「麒麟の翼」、「祈りの幕が下りる時」なんて、
加賀恭一郎が義理人情の町・日本橋に配属になってしまうから顕著にその兆候が現れてくる。
だから映像化しやすかったのかな〜とか勘繰ってみる。
不思議なもので、映像化される前から「加賀恭一郎」の描写はもはや阿部寛さん一択!!
「長身で彫りが深い」とか40年前の時点で書かれているので、
運命性を感じずにはいられないですね〜。
ガリレオもそうだけど、もはや映像の主人公が動いて、喋ってっていうのが脳内再生されてしまうので、本当に面白いですね。
してやられた・・・
というふうに思っていたら、一番最近刊行された「あなたが誰かを殺した」では、「赤い指」以前と同じぐらい、加賀恭一郎を単なる探偵役として出演させて、これはもう、読み手は混乱していきます。。。
確かにそれもいい、それも良いんだけれど、、、。
さて、次回以降どうなるのかは楽しみですね!
ここまで読んでいただいてありがとうございます!
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