【ファスト論文】学会誌『広報研究』に載った『ISM構造』をザックリと説明します
このたび私の書いた論文が、日本広報学会の学会誌『広報研究』第27号に掲載されました。
タイトルは、『ISM構造におけるパーパス策定の「分かりやすさ」についての考察』。
自分がつくった『ISM構造』というフレームワークを、自分で説明している自画自賛な論文です。
論文には、研究の目的とか引用データとかいろいろ書いてあって、9000文字を超える10ページの論文なのですが、ここではタイパ重視のザックリ版「ファスト論文」にしてお届けします。
要するに「セルフ切り抜き」です(笑)
※このコラムでは、一部図表を含みます。ご了承ください。
研究背景とか、なんやかんや
そもそも『ISM構造』というフレームワークをつくろうと思ったのは、周囲の経営者から「パーパスって何?」と聞かれまくったからです。
ついでに、ビジョンとかバリューも分からない、と。
パーパスについて書かれている本は、どれも難しすぎる、と。
ということで、簡単にパーパス・ビジョン・バリューをつくれるフレーム、というのを考えました。
そもそもブランドとは何か
そもそもブランドというのは、企業ブランドも商品ブランドも、他者から見たイメージのことです。
コーラのパッケージを見ればコーラの味や爽快感が想像できるように、内容やイメージを伝えるのがブランドの役割です。
イメージを信じて購入するので、実際の価値が期待に応えられないと「期待を裏切る」ことになります。
なんでパーパスが必要になったのか
ネットやSNSが普及すると、CMが伝える良いブランドイメージ以外の「不都合な事実」も見えてきます。
どんなに素晴らしい商品やサービスを提供していても、従業員や仕入先企業に対してブラックだったり、地球環境を破壊していたりすると、ブランドのイメージが損なわれてしまう。
そうなると、商品から得られるメリットだけでなく、企業としての全方位的な配慮や価値も伝えたくなりますよね。
そこで「私たちが社会の一員として存在する目的」を宣言したのが「パーパス」です。
でもコレを経営者が独りで考えるのは、結構しんどい話ですよね。
ということで、『ISM構造』を考えました。
『ISM構造』の使い方
『ISM構造』というのは、Internal(社内)、Social(社会)、Market(市場)の3つの頭文字を採ったもの。
社内の従業員、社会の様々な人たち、市場の顧客、それぞれの人との約束を考えていきましょう、という考え方で、この順番の通りに決めていくフレームワークです。対象となる従業員や顧客、世の中の人たちにヒアリングできると、さらに考えやすくなるでしょう。
「ビジョン」「パーパス」「バリュー」ではなく、従業員と共有すべき「意識」、世の中と共感できる「意義」、顧客と共創する「意味」という言葉に置き換えているのも特徴です。
概念だけだと分かりにくいので、スイーツショップの例と一緒に説明していきます。
①最初に経営者の「意志」を設定
最初に、図の中心にある「意志」を考えます。
これは経営者ご本人の「自分の会社で何をしたいか」という根本的なことなので、永遠にブレないことが重要です。
逆に言うと「絶対に譲れないもの」でもあるため、多少わがままでも良いので、思いや哲学を存分に注ぎ込みましょう。
会社案内などの「フィロソフィ」(企業理念)に近いものです。
②2番目に従業員と「意識」を共有
経営者の「意志」だけだと独善的で誰もついてこないので、次に従業員と「目指すべき将来像」をすり合わせていきます。
いわゆる「ビジョン」に近いものなので、共に向かう方向性として「意識」を共有できます。
③3番目に世の中と「意義」で共感
次がいよいよ「パーパス」=「社会における意義」ですが、「意義」というと堅苦しいので、会社が「社会の一員」として「どんな世の中をつくっていきたいか」を考えると良いのではないかと思います。
前述の「意志」(フィロソフィ)と「意識」(ビジョン)を踏まえて、驚くほど美味しいスイーツに行列が出来たらどうなるか。
シンプルに言うと、食べて喜ぶ人が増えると思うのですが、その「意義」に共感してもらえたら「パーパス」になります。
なので「パーパス」は割と抽象的なものが多く、差別化が難しいのも事実です。
④4番目に顧客と「意味」を共創
市場における「バリュー」は利害に左右されやすいので、そちらに偏らないためにも、前述の「意志」(フィロソフィ)と「意義」(パーパス)を踏まえて最後に考えます。「パーパス」とは違って独自のサービス価値が必要になります。
スイーツで感動を与えるために、自社にしか出来ないサービスはどんなものか。
単純に商品が提供する物性価値ではなく、ユーザーが得られる体験価値を訴求しましょう。
ブランドの持つ「意味」を、ユーザーの体験を通じて共創することで、ファン化にも繋がります。
ここまで出来たら実施してみて、また同じ順番(時計回り)でに修正を加えていくと良いでしょう。
おわりに
今回は初めての試みで、自分の論文を自分で切り抜いてみました。
また投稿した際には「ファスト論文」を書いてみたいと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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この論文の本編にご興味がある方は、以下よりアクセスできますので、ご覧くださいませ。
『広報研究』第27号のページはこちらです。
CiNiiのページはこちらです。
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