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【ミカタをつくる広報の力学】 #32 PR情報の種類について考える

今回は、以前書いた年間広報計画にもつながる「PR情報の種類」について書きたいと思います。
ブランディングに関連したPRの場合は、リリースで発信するニュース情報だけでなく、様々な情報を配信していることでしょう。その情報の種類を「STANS」という5分類で説明します。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


STANSについて

私のラボでは実務だけでなく研究もしておりまして、今回は研究段階のメソッドを書きます。
つまり「研究段階なのでテッパンではないですよ」という言い訳です(笑)

世の中に発信するPR情報は、大きく分けて5種類あると思っています。
その5種類を、Scoop、Timely、Archive、News、Seriesと定義しました。
その頭文字を並べて「STANS」
英語で立ち位置を意味する「Stance」とはスペルが若干違いますが、「情報の立ち位置」と捉えていただければと思います。

仮説として、一番左がリーチが広く、右へ行くほどリーチが狭くなると想定しています。
もっとも世の興味を引き付けるのはScoop(スクープ)、つまり特ダネの極秘情報ということです。逆に広範囲ではないけれど、フォロワーなど限定的なターゲットに効果を発揮するのが、メルマガなどSeries(シリーズ)としての定期的な情報ということになります。


【Scoop】 特ダネの極秘情報

「スクープ」は「特ダネの極秘情報」で、号外や特報の対象となるような情報を指します。例えは悪いですが、大手企業の倒産や事故、事件などが該当するので、広報計画を立てられるものは少なく、むしろ危機管理広報の対象になるもののほうが多いかもしれません。

あえて計画的に発表する例を考えるならば、大規模な企業合併でしょうか。
もちろん、大スクープになるような合併情報は適時開示の対象となるので、IRや経営部門と組んで慎重に広報することになるでしょう。

このケースは滅多にないので、あまり考慮する必要はないかと思います。


【Timely】 旬のタイムリーネタ

「旬のタイムリーネタ」は、季節や歳時にかかわる、まさに年間広報計画の中心となる情報です。「#23 年間広報計画をつくろう」では「歳時記とエポックと社会情報」と書きました。バレンタインやクリスマスのほか、周年の記念日や法律の施行日などに絡めた情報のことです。

旬のタイミングではメディアにも関連記事が増えて、世の中の機運も高まるため、検索ワードも圧倒的に上昇することで、関連情報のリーチ率も上がります。

広報の戦略としてはもっともポピュラーなものかもしれません。


【Archive】 集積された知見情報

「集積された知見情報」のアーカイブは、実はブランディングには欠かせないツールです。タイミングでメディア露出を狙う情報とは異なり、オウンドメディアに常設で時期を問わずアクセスを狙えます。
例えば、食品企業のレシピや専門的な企業の用語集などがそれに当たります。

リーチの範囲としてはそれほど広くないですが、ジャンルを絞ってターゲットの検索にヒットさせることが可能になります。
リーディングカンパニーや協会のサイトでは、業界情報を調査して定期的に配信しているところも見られます。

これも続けていれば着実にブランディングにつながり、メディアが調査データを掲載したり情報を求めてくることもあります。


【News】 初めて出す新情報

これはシンプルに「初めて出す新情報」としてのニュースリリースです。
新製品の発表や、人事情報など、「新しい情報」という以外は何も目立った特徴がありません。超大手企業や有名企業なら別ですが、一般的にはリーチの範囲はとても狭くなります。

ですがマーケティングPR的には一番見てほしい情報なので、確実にメディアに載るように広告と連動することが多いようです。
B2CならCMなどの広告、B2BならパンフレットやDMとともに、ホームページに特設サイトをつくって、じっくり読んで、しっかり理解してもらうために情報を厚くして、カスタマージャーニーをつくるのではないでしょうか。

アーカイブと同様にターゲティングが重要な情報ですが、情報の集積量を多くして「待ち受け態勢」とするアーカイブに比べて、ひとつの情報の層を厚くしてメディアに「攻め態勢」で挑むことが、ニュースには必要かもしれません。


【Series】 定期的な配信情報

最後に「定期的な配信情報」の「シリーズ」です。
これは上でも書いたように、メルマガなどの定期配信のほか、広報誌などの定期刊行物のほか、決算短信などの法定開示やニュースレター、定期更新のYouTubeなども定期配信情報になります。

ターゲットがとても狭く、その企業の限定的な情報に興味がある人たちに限って情報発信し、その多くはメルマガなどのように、配信希望の登録をするケースが多いです。少し変則的ですが、定期的に配信している公式SNSもフォロワー登録を促すので同様です。

主にフォロワーや登録者を対象としているので、リーチも情報も極めて限定的です。閲覧も日常的に習慣化するので、特にエキセントリックなこともなく、常態化していきます。

実はこれがブランディングでは割と重要で、「あることが当たり前」になるのです。アクションこそ誘発できないものの、パーセプションの形成には役立ちます。

ただしコミュニティ化するものには内集団バイアスという罠もあるのでご注意ください。


おわりに

今回は、研究段階で検証前のメソッドを先出ししましたがいかがだったでしょうか。情報の種類がわかることでPR戦略が立てやすくなれば幸いです。

このメソッドの検証が可能なのかさえわかりませんが、一緒に研究してくれる人がいらっしゃいましたら、どうぞご連絡ください(笑)


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
共感してもらえましたら、スキやフォローをいただけると励みになります。

ではまた次回お会いしましょう。



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