【ミカタをつくる広報の力学】 #28 テレビ露出について考える
前回はテレビと雑誌を比較して、共通点や異なる点について書きました。
今回はもう少しテレビの世界に足を踏み入れて、テレビ露出について書いていきます。
局によって多少の違いはありますが、大まかなところを把握していただけたらと思います。
※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。
テレビ番組をつくっている人たち
前回、テレビ局ではジャンルごとに制作する部署が異なることや、その部署ごとにプロデューサーやディレクターがいる話を書きました。
少し詳しく書くと、まず「編成局」という部署が「どんな番組をどの枠で放送するか」ということを決める権限を持っています。この権限は視聴率に基づいてスポンサー、つまり予算を付ける権限なので打ち切りを決める権限でもあります。
一般の事業会社でいうと事業戦略本部が近いかもしれません。
その編成局が組んだ番組を取り仕切る責任者が「プロデューサー」になります。プロデューサーは番組の企画を立てて予算を付けてもらい全体の方向性を決めていきます。
そして番組の制作を担当するのが「ディレクター」です。少し語弊がありますが現場監督と捉えるとわかりやすいでしょう。
バラエティなら放送作家、ドラマなら脚本家が組んだシナリオに沿って番組を制作していきます。番組の規模によっては、コーナーごとにディレクターがいる場合もあります。
報道局には制作スタッフだけでなく、政治部、経済部、社会部などに分かれて取材のための記者がいて、記者クラブに所属している人や、番記者をしている人もいます。
企業の広報担当者ですと、経済部の人とご縁があるのではないでしょうか。
露出のキッカケをつくるには?
ではどのように売り込めばテレビ露出に繋がるのか。
広報担当者であれば誰でも、常に頭を悩ませていることだと思います。
残念ながら、明快な答えはありません。
番組によっても、ネタによっても、タイミングによっても、露出可能性が違ってくるからです。媒体費を支払って広告枠を買っている場合は別ですが、任意の取材では「絶対」ということはありません。
ですが参考までに、キッカケになる方法をいくつかご紹介します。
ニュースリリースは番組ごとに送りましょう。特に情報番組のディレクターは、ネタ探しのためにリリースを見ることがあります。
SNSもバカには出来ません。最近のテレビではネットから収集した情報が放送されることも多いからです。特にSNSで拡散されているネタは、大きな反響が見込めるということなので、テレビも放ってはおきません。
情報をキャッチしてくれた番組担当者が連絡しやすいように、ホームページにもリンクしておきましょう。
意外と知られていないのが企画の持ち込みです。
企画を立てるという技術的ハードルが高いわりに、成功率が高いわけでもない。
だから逆にライバルが少ない。
テレビ番組の企画は、テレビ局ではなく外部発注を受けている番組制作会社に持ち込む場合もあります。番組によって制作会社主導の場合と局主導の場合があるので、毎回クレジットを見ておくと良いでしょう。
制作会社が強い番組は、ずっと同じところで制作しているものです。
テレビに売り込む企画とは?
番組企画といっても構成自体をまるごと提案するわけではありません。
コーナーを構成する要素になっていれば良いわけで、極端なことをいうと、前回書いた「プレゼントパブリシティ」も企画です。
重要なのは、自社の利益ではなく番組を魅力的にするということ。
テレビとは若干異なりますが、「フィルムコミッション」などはわかりやすいPR手法です。最近では自治体の観光課なども積極的に活動していますが、ロケ地として誘致する方法です。
番組に直接売り込むわけではないですが、地域の魅力やロケへの活用のしやすさを訴求するムービーやホームページを作成し、テレビ局や映画会社とリレーションを図っています。
他にも「プロダクトプレイスメント」で番組内に製品を置いてもらったり、制作協力でクレジットに名前を載せるなど。
番組に無償で協力することで露出を獲得する方法はたくさんありますので、ぜひ考えてみてください。
おわりに
今回はテレビ露出について、大まかなところがわかる程度に書いてみました。本当に大まかですが、少しはコツが見えましたでしょうか。
テレビに限らずですが、露出獲得のための方法は無限に存在します。今度また機会があれば、番組ジャンルごとの攻略法なども書ければと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。