【ミカタをつくる広報の力学】 #17 地方紙は地元ネタのエキスパート
今回は、私が地方紙で露出を獲得したときの話を書きたいと思います。
県ごとで発行される「県紙」や複数の県にまたがって発行される「ブロック紙」を指して「地方紙」と言いますが、地域メディアならではのニュース特性があるので、その部分に言及していきます。
※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。
地方紙は地元住民のミカタ
言うまでもないですが、地方紙の読者は「その地方の住民」です。
そして、地方紙の記者は、地元のニュースを追いかけます。
他県に特派員を出している場合もありますが、ほとんどの記者が地元にいて県議や県警を取材します。
他にも、地場産業や地元の商店街、学校、団体。地元で起きた事件・事故、イベントから訃報まで。
「地元のニュースを地元住民にお届け」するのが、地方紙の役割です。
これは、読者の数も限られますが、ニュースの数も限られるということ。
つまり、地元で起きたイベントは地元の新聞に取り上げられる確率が高いということなのです。
余談ですが、地方紙に掲載される全国の情報は、海外のニュースと同様、基本的には通信社から買っています。通信社の話は、また別の機会に改めて。
地方では教育・文化ネタが強い?
私のいた会社は、現在も東海地方の創業地に工場があり、教育系に強みを持つ企業だったので、PRの一環として、工場近くの小学校に対して出張授業をすることにしました。
その際、地元の新聞社に連絡して、授業の様子を取材に入ってもらったのですが、結果、一般記事と日曜版の児童向け記事の2つ、どちらもカラー写真入りで露出を獲得。
知名度もさして高くないB2B企業の割には、まずまずの成果といえるでしょう。
このことから分かるのは、「地方では教育・文化ネタが強いのではないか」ということです。
あくまで個人的な仮説にすぎないのですが、先ほど書いたように、地方紙はほとんどが住民読者と推測できるので、ビジネス目的よりも「暮らしに近い情報」の方が好感触なのではないでしょうか。
もちろん教育以外のニュースでも露出獲得できるとは思いますが、この少子化の中、子どもたちの明るい話題は、新聞社としても積極的になるのではないかと思うわけです。
地域のメリットを考えた提案
私の実施した出張授業の例をご紹介しましたが、教育以外ではどんな施策が考えられるでしょうか。
新聞社のメディアインサイトを形成する要素のひとつが「読者メリット」です。つまり「読者が知りたいこと」を中心として、読者に喜んでもらうことを大切にしています。
地域が活気づくイベントの実施や観光資源となるモニュメントの寄贈といった地方創生策に限らず、地元の特産品とコラボした商品開発や当該地域を舞台としたストーリーづくりもあるかもしれません。
ひとつ言えるのは、地域にしても施策にしても、関連性がないと意味がありません。
縁もゆかりもない地域で本業と関係ないイベントを実施して、もし取材・掲載されたとしても、事業へのアウトカムはほとんど期待できないからです。
関連性のないところに関連性をつくるのもPRの仕事とは思いますが、
無理にこじつけても良い結果になることはほとんどありませんので。
おわりに
今回ご紹介した地方紙は、リーチは少ないけれど露出のチャンスがあるメディアなので、もし他のメディアの記者に記事を見てもらえたら、次の取材に繋がる可能性もあります。
地方の新聞に限らず、テレビのローカル局も同様のインサイトを持っているので、地方でPR施策をやるときは一緒にお声がけしてみるのも良いかもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。