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「STARTUP LIVE」から学ぶ新規事業立ち上げのポイント

5/29に出版された『STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか』(NewsPicksパブリッシング)の刊行を記念して、そこに登場する起業家の方々が登場するイベント「STARTUP LIVE」が開催され、noteに書き起こされていました。

本も読みましたが、「STARTUP LIVE」で記載されていることも示唆に富んでいたので、そこから新事業立ち上げのポイントをまとめてみたいと思います。ポイント抽出の観点はあくまで私の置かれた環境によるもので、一般化は意図していません。

当社において新規事業に求められるもの(ポイント抽出の前提)

当社はいくつかの新規事業をトライしていますが、フェーズが異なります。新規IP立ち上げ、ハイパーカジュアルゲーム立ち上げはジャンルとしてはやることは決まっていて、その中身を量産しています。一方で、C向け、B向け問わず、既存事業とは異なる新規事業の立ち上げも狙っています。今回ポイントを抽出したいと思ったのは後者の新規事業です。

新規事業立ち上げの方法論としては、ハイパーカジュアルゲームはひとつの理想形にあると考えています。検証すべきことが各フェーズで明確で、その検証がスモールに行えるのでたくさんのトライがしやすく、そのフェーズをくぐり抜けた際には事業が成立することが分かっているためです。一方で、どんなものになるかわからない新規事業においては、①検証するものをどうやって明確にするか、②事業として成立する規模になるのかどう予測するか、という点が特に難しいと感じています。このため、この2点のポイントを抽出します。

①検証するものをどうやって明確にするか

これは中川綾太郎氏がおっしゃっていた「角度」を定義するということだと、自分の中で言語化できていなかったことができました。

たとえば、今は「stand.fm」という音声のプラットフォームを運営しているんですけど、stand.fmをシンプルに「Podcastをつくるツール」と見る角度もあれば、「新しいインターネット上のサードプレイスを創ろう、居場所を創ろう」と見る角度もあれば、「ライブ配信から画面を消したもの」みたいなとらえかたもあるじゃないですか。そのような感じで、考えるときにはいろんなとらえ方を出していきます。

このような「角度」が明確であれば、何が事業の骨子となるかがはっきりし、新規事業立ち上げのファーストステップはその検証をすればよいことになると思います。

「角度」がはっきりしないままに進んでしまうと、開発段階で要素が足りないと感じる要素はたくさんあるので、どうしても開発期間が膨らんでしまいます。これを防ぐために、社内では、仮説をシャープにして、その仮説を検証するためのファーストステップをしようと言っていましたが、「角度」をはっきりさせるというほうがしっくりくるなと思います。

②事業として成立する規模になるのかどう予測するか

新規事業は将来のことを予想するのは困難なのでスモールスタートで始めようと考えますが、そうは言ってもそこにリソースを張るだけの価値があるのか、スケールする可能性はあるのか、どのくらいの規模になるのかを知りたくなります。このため、当社における新規事業コンテストの時も将来の市場規模を求めていたこともありました。それは難しいことであることが、堀井翔太氏の言葉で改めてわかりました。

STARTUP本のなかで、ラクスルの松本さんが「印刷の市場が1億円ある」と書いているのを見て、B向けであれば、顕在化されている市場を上手く切り取るという発想ができるのかなと思ったんです。だけど、コンシューマー向けのサービスは「不便さを無理やり不合理の方法で解決していた人」が何人いるのか、潜在ユーザーはどれくらいかいるのかを計測する必要があるので、(市場規模を予測するのは)かなり難しいと思います。

必要なのは市場規模を算出することではなく、新しいサービスは一定の人に支持を得て、使ってもらえる確信があるかどうかだと思います。この点については、堀井氏も、松本恭攝氏も言っていることは同じであると思いました。

市場規模はまったく考えていなかったですね。フリマアプリのフリルを出す前に、いくつか作っていたプロダクトがほとんど使われないという痛い目を見ていたので、使われないサービスを世に出すことほど無駄なことはないと思っていました。フリルはそうならないという確信があったので、そこは大きかったですね。少なくとも使われるもの、人が欲しがるものを作ろうという大前提はありました。
やっぱり複雑なんです。複雑であり、シンプルであって…シンプルである点は、「お客さんが喜んでくれて、それが他のサービスにない仕組みで提供される」ということで、スタートアップにはこれがないと成り立ちません。新しい仕組みでもお客さんが喜んでくれないから全然売上が立たないこともあれば、たとえば、暑い日にビールを売ることのように、お客さんは多いけど誰でもできることもあります。売上を立てるっていうのは、シンプルにお客さんが喜んでくれることなんだけれども、それを違うやり方でやるというのはすごく難しいです。シンプルなんですけど、針に糸を通す作業みたいな難しさがあると思います。


まとめ

新規事業の初期段階の進め方は非常にシンプルになります。(シンプルゆえに難しいですが)

どういう「角度」のサービスかが言語化されていて、
・その「角度」のサービスであれば一定の支持を得て、使われることが想定できる(使ってくれそうな人が具体的に浮かぶ)
・「角度」を実現するために何がサービスの骨子となるかが明確であり、ファーストステップとして検証すべきことが明確になる
という状態が求められる。

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