【娘の記憶】~君はまだパパと呼ばない~6話
私には子供がいます。
血のつながりの無い子供です。
今年、父になりました。
本音を言うと20代の頃には考えられませんでした。
血の繋がりの無い子供を持つなんて。
だから、娘が
「お父さんではない。」
と言う気持ちも分からないではない。
【娘の記憶】
妻と子供と遊びに行くようになった。
2人で歩いていると、良く親子と間違えられた。
店員に
「お父さん?」
と聞かれても、娘は何も反応しなかった。
それから何度か3人で遊びにいったのだが、ある日娘が
「あっ、この光景を夢で見た事がある。〇〇さんと一緒だったんだ」
と男性の名を言った。
私は合わせて、
「そうなんだぁ~」と答えた
それから、娘と2人の時にたまにその男性の名前が出て来た。
娘が生まれてから、妻が付き合った方の名前だった。
娘が物心ついた頃には、その男性と居たらしく
記憶が断片的に残っているようでした。
悪気はないとは言え、楽しそうに話す内容が
「あの頃に戻りたいのかな?」
と話を聞くたびに、私の胸を何度も締め付けた。
続く。