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デザインポリシーの検討プロセスと活用
つみきのデザイナーは、クライアントワークを中心に、アプリやWebサービスなどのUIデザインを専門に取り組んでいます。各々がつみきらしいデザインを深め、実践していくために、以下のようなデザインポリシーをつくりました。その内容と検討プロセス、活用方法について紹介します。
デザインポリシーをつくったきっかけ
昨年、新人デザイナーが入社したことがきっかけとなりました。他のデザイナーと比較してキャリアが浅く成長過程にあるため、今後仕事を任せていくために何から優先して習得していくべきかを検討しました。そこで、はじめにデザイナーのスキルの明文化から着手しました。
一例をあげると
ビジュアルデザイン: ブランドやユーザー特性に適したデザインを作成し、特徴や利点、複数案の違いなどを言語化して関係者に説明できる
UI設計: ユーザーの行動やその動機、期待される結果を理解し、最適なUIを設計できる
といった具合です。
次に「つみきらしいデザインとは何か?」の共有について考えました。デザイン制作は判断の連続です。AとBをつくりどちらが良いか判断し次はAとA'のどちらが良いかを判断します。大まかな方向性から細部の作りこみまで判断を繰り返すことで形が出来上がっていきます。
判断には何らかの基準があるはずで、おそらくこの基準が「らしさ」に関わります。そこで、わたしたちが今までどのようなデザインを良いと判断していたのかの言語化を試みました。
デザインの言葉を集めるワークショップ
デザインポリシーの検討にあたって、チーム内で簡単なワークショップを行い、デザインについての言葉を集めました。参加者が二人一組となり以下の手順で相互インタビューを行います。
1. 参加者が二人一組になりお互いインタビューを行う。つみきのデザインについて、自分自身が影響を受けているものについて、成功体験について。
2. 相互インタビューが終わった後、参加者全員でインタビュー内容を発表する。インタビュワーは聞き取った内容を自分なりに要約して紹介する。他の人は聞きながら印象に残った言葉をポストイットにメモする。
3. 全員の発表が終わった後に、ホワイトボードに集まる。順にメモした内容を説明しながらホワイトボードに貼っていく。
4. ホワイトボードに貼られた言葉を分類。・整理しながら意見を交換したり質問をし合う
デザインについての言葉を集めながら、その言葉の奥にある各自のエピソードを理解し話し合える場となりました。こうした言葉を参考にデザインポリシーを組み立てていきます。
デザインポリシーの目的
デザインポリシーをまとめるにあたって、予め2つの目的を想定しました。
1. 共通の指針となる言葉
クライアントワークという性質上、仕事の種類は様々です。UIデザインに絞っても、Aという案件で整然と要素が整理されたUIが必要となり、Bという案件で人を惹きつけるようなインタラクションが必要になります。加えて多くの案件でデザイナーは一人でデザインを担当します。こうした状況で自然と「つみきらしいデザイン」が共有され深まっていくとは考えにくいです。そこで各自が暗黙に感じている「つみきらしいデザイン」を言語化し、この言葉の指し示す方向に向かって、デザインを醸成し、深めていけると良いと考えました。
2. 日常的に使いやすい言葉
指針としての言葉は、企業理念や行動指針がすでに存在しています。我々がつくるデザインも、これらの実践の一つであると言えますが、こうした言葉は抽象度が高くデザインについて語る際にそのまま活用できる言葉ではありません。そのため、メンバー同士でのデザインについてのやりとりや、クライアントにデザインを語る際に口にしやすい言葉があると便利です。
つみきのデザインポリシー
つみきのデザインポリシーは以下の四つの言葉からなります。
1. 良いデザインには目的がある
つみきに仕事を依頼するクライアントには必ず達成したい目的や課題があります。事前にはっきりしている場合もあれば、はじめはクライアント自身も把握できていないこともあります。いずれの場合も目的や課題を明確にした上で、デザインを検討し提案します。デザイナーはそれらを言語化して関係者に伝える役割も担っています。
2. 良いデザインは人に寄り添う
アプリやWebサービスのUIデザインにおいては、外部デバイスと連携して動作するものや、複雑な処理を伴うものなど、そのままではユーザーが理解しにくい複雑なものが少なくないです。これらを理解しやすいカタチに具体化し、ユーザーが自身の体の一部にように扱えるようにすることもデザインの役割です。そのためにデザイナーも技術を理解する必要がありますが、それを扱う人の側に意識を向けることが大切です。
3. 良いデザインには遊び心がある
ちょっとしたユーモアやワクワクするような仕掛けがアプリやWebサービスに目を向けるきっかけになったり、愛着を使い続けるきかっけとなったりします。そうしたものは作り手の遊び心によるものが多いですが、遊び心があれば何でも良いわけではありません。実質を伴わないにも関わらず、むやみに注目を誘ってユーザーの利益を損なうものや、作り手の嗜好をユーザーに押し付ける独りよがりなものであってはいけません。ブランド、機能や特徴、ユーザーの性質や環境など様々な要因を加味してカタチづくることが大切です。
4. 良いデザインは活用しやすい
わたしたちがつくるデザインは、制作後に様々な人たちの手に渡ります。ユーザーの手に届けるには、エンジニアが実装できなくてはいけません。リリース後も終わることなく続く改善のために、他社のデザイナーが扱うこともあります。そのため、デザインの意図や要素や法則などが理解しやすく整理され、活用しやすいことが大切です。作者自身にしか扱えない特殊なものであってはいけません。
デザインポリシーをどう活用していくか?
こうして、つみきにとっての「良いデザイン」を言葉にしてみました。
今回はあえて具体例は示しませんでした。それには理由があります。この言葉に即して僕自身が良いと感じるデザイン事例はありますが、具体例を見つけそれについて語ることは、今後のチームでの取り組みにしたいと考えているためです。カタチを伴ったデザインを軸に言葉を交わし、日常的な仕事で活用したり、各自の理解のもとに実践し、その結果を共有することで、つみきらしいデザインを深めていきたいと考えています。
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👉 つみきでは、アプリやWebサービスのUIをデザインしています。遊びごころとアイディアでユーザーの愛着を生むデザインを得意としています。アプリやWebサービスの立ち上げや改善をお考えの際は是非ご相談ください。
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👉 TwitterでもインタラクションデザインやUIデザインについて発信しています。
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