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応用情報技術者試験対策:経営分析の基本を押さえる! 第3回:「企業成長性を把握する収益性・成長性指標」

前回は、企業の健全性を評価するための財務指標についてお伝えしました。今回は、企業の成長性を把握するための「収益性」や「成長性」の指標を解説します。これらの指標は、企業の将来の発展可能性を見極めるために非常に重要です。


1. 収益性指標とは?

収益性指標は、企業がどれだけ効率よく利益を上げているかを示す指標です。高い収益性は企業の競争力を示すとともに、投資家にとって魅力的なポイントとなります。主要な収益性指標には以下があります:


2. 代表的な収益性指標

  1. ROE(自己資本利益率)

    • 計算式:当期純利益 ÷ 自己資本 × 100

    • 概要:株主が投資した資本に対して、どれだけの利益を上げたかを示す指標です。企業が株主資本をどれだけ効率的に運用しているかを測るため、投資家にとって非常に重要な指標です。

    • 目安:一般的には10%以上が望ましいとされています。

  2. ROA(総資産利益率)

    • 計算式:当期純利益 ÷ 総資産 × 100

    • 概要:企業が持っている全ての資産を活用して、どれだけ利益を生み出しているかを示します。ROAが高いほど、資産の効率的な運用がされていることになります。

    • 目安:一般的に3%以上が良いとされています。

  3. 利益率(営業利益率・経常利益率)

    • 計算式(営業利益率):営業利益 ÷ 売上高 × 100

    • 概要:営業活動から得られた利益の売上高に対する割合を示します。この指標は、企業の営業活動がどれだけ効率的に利益を上げているかを評価するのに役立ちます。

    • 目安:業界や企業によりますが、営業利益率は5%以上が健全と言われることが多いです。


3. 成長性指標とは?

成長性指標は、企業がどれだけ成長しているか、将来的にどれくらいの成長が見込まれるかを示す指標です。企業の将来性を評価するためには、過去の実績と現在の状況だけでなく、将来的な成長力を予測することが不可欠です。


4. 代表的な成長性指標

  1. 売上成長率

    • 計算式:(当期売上高 − 前期売上高) ÷ 前期売上高 × 100

    • 概要:売上の成長率は、企業がどれだけ新規顧客を獲得し、売上を伸ばしているかを示す指標です。売上成長率が高い企業は、市場において競争力があり、成長の余地が大きいと評価されます。

    • 目安:成長性の高い企業では、10%以上の成長率が期待されることがあります。

  2. 営業利益成長率

    • 計算式:(当期営業利益 − 前期営業利益) ÷ 前期営業利益 × 100

    • 概要:営業利益の成長率は、企業の収益性を改善する努力がどれほど成果を上げているかを示します。利益が増加することで、企業の安定性や成長性が向上します。

  3. EPS(1株当たり利益)成長率

    • 計算式:(当期EPS − 前期EPS) ÷ 前期EPS × 100

    • 概要:EPSは株主に対する利益を示す指標で、企業の収益性と投資家へのリターンを示します。EPSの成長率が高い企業は、株主に対して高いリターンを提供していると見なされます。


5. 収益性・成長性指標の活用方法

収益性指標と成長性指標を併せて分析することで、企業が現状どれだけ効率よく利益を上げており、今後どれだけの成長が見込まれるかを総合的に評価できます。たとえば、ROEROAの指標で収益性が高い企業でも、売上成長率営業利益成長率が低ければ、将来的な成長が見込めない可能性があります。逆に、成長性は高いが収益性が低い場合、企業が利益を上げるために課題があると判断できます。


6. 応用情報技術者試験における活用

試験では、これらの収益性や成長性指標を基に、企業の現状分析や戦略提案が求められます。特に、ケーススタディ形式で企業の成長性を判断し、その後の戦略に生かす問題が多いため、これらの指標を迅速に計算・解釈できるようにしておくことが重要です。


7. 次回の予告

次回は、効率性と生産性を測る指標について詳しく解説します。企業がどれだけ効率的に資源を活用しているかを示す指標を理解することで、さらなる経営分析が可能となります。お楽しみに!

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