白夜行
ついに分厚いこの本を読み終えた。クライマックスのシーンで、雪穂とエビとハゼの関係である桐原亮二がついに現れた。しかし、捕まえることはできずに2階から飛び降り自殺してしまった。このシーンだけでも、世界観に浸る力がある。話が終わってしまったことによるものなのか、それとも雪穂に尽くし続けた男の切ない終わり方への寂しさなのか、何とも言えない気持ちに包まれている。ちょうど外が寒くなってきて肌寒いことも相まって、気持ちがしみ込んでいく。こうやって小説を読んだ後の感想を書いてみると、如何にボキャブラリがないかを突き付けられる。言葉を知らなすぎるのである。そういえば最近、小学2年生の娘の語彙力を高めるため、有名な塾講師Youtuberの先生が紹介する語彙力アップ漫画を購入した。まずは私が読んでこの本の価値を確かめるという名目で、自分自身の語彙力アップを試みてみようと思う。話を元に戻そう。白夜行についてである。物語が終盤になるにつれ、雪穂がどれだけ暗い世界で生きてきたかが見えてくる。大阪の古びたビルの中で何が行われていたのか。当時小学校6年生だった雪穂と殺害された亮二の父親に何があったのだろうか。想像するだけでおぞましい。そんなことがどうやったら起こるのだろうか。想像もできない世界で生きている人達がいる、想像もできないようなことをさせられている子ども達がこの世の中にはいるのである。そのことを知った亮二は、雪穂を助けるために父親を殺害し、アリバイ工作をした。事件の真相は明るみにであることなく、迷宮入りする。エビとハゼの関係はこの後も続く。雪穂が気に食わない相手が現れると、亮二がこれを排除し、雪穂がお金が欲しくなれば亮二がお金を作る。亮二は父親を殺害することで雪穂を救ったが、その後も雪穂のボディガード、パトロンのような存在になったのだろうか。ビジネスパートナーという方が正しいのだろう。肉体関係はなく、ビジネス上のパートナーというところだろうか。だからこそ、雪穂と亮二が一緒にいるところを誰にも見られることはなかったのだろう。雪穂に尽くし続けてきた亮二は幸せだったのだろうか。憧れ続けた雪穂のために生きることができたのだから、幸せだったに違いない。決して結ばれない2人の関係性。最後の亮二の死もそんな雪穂への思いを想像すると、幸せな最後だったのかもしれない。
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