【意外と知らないひな祭りのお話】
[1:はじめに]
だんだん春が近づいてきて陽射しもあたたかくなってきましたね。
ちょうど桃の花が咲く今の季節にぴったりのお祭りがあるのをご存知でしょうか。
それは《ひな祭り》です。
[2:ひな祭りの由来]
◆ひな祭りとは?
別名《桃の節句》や《上巳の節句》とも呼ばれるひな祭り。
このお祭りは毎年3月3日に、女の子のすこやかな成長と健康を願っておこなわれている行事です。
◆桃の花を飾る理由
桃の節句の名前のとおり、ひな祭りでは桃の花を飾る風習があります。
中国では桃の木が病魔や厄災を払う不老長寿の木として縁起の良いものとされてきました。
そして旧暦の3月3日がちょうど桃の花が咲く季節ということもあり、縁起物として飾られるようになったのです。
[3:いろいろなひな人形]
ひな祭りで飾られるひな人形といえばお内裏様とお雛様が並んでいる姿が印象的です。
華やかな着物姿の二人が美しいひな人形ですが、いろいろな種類があることをみなさまは知っていますか?
◆関東雛と京雛
ひな人形には関東で作られている《関東雛》と、京都で作られている《京雛》があります。
それぞれの違いは以下のとおり。
【関東雛(かんとうびな)】
・右側(向かって左側)にお内裏様、左側にお雛様が座っている
・はっきりとした目鼻立ち
【京雛】
・左側(向かって右側)にお内裏様、右側にお雛様が座っている
・目が細め、おっとりとした目鼻立ち
なぜこのような違いが表れたのかというと、昔の宮廷では左上位(左側の位が高い)とされていたためで、京雛では帝(お内裏様)が左、妃(お雛様)が右に座っています。
関東雛は現代の国際基準に合わせて右上位のため、京雛とは左右が逆になりました。
今ではどちらも手に入るため、ご自身の好みに合ったひな人形を選ぶことができます。
◆飾り方の違い
ひな人形にはお内裏様とお雛様以外にも人形や飾りがあります。
その段数と人形の数によって、それぞれ〈七段飾り(十五人飾り)〉〈五段飾り(十五人飾り)〉〈三段飾り(十人飾り)〉〈親王飾り(二人飾り)〉と呼ばれています。
七段飾りの飾り方は
一段目:男雛と女雛/二段目:三人官女/三段目:五人囃子
四段目:随身(ずいしん・ずいじん)/五段目:仕丁(しちょう・じちょう)/六段目・七段目:化粧箱、御所車、駕籠(かご)などの嫁入り道具
となっており、かなりの大きさになります。
五段飾りは四段目に随身と仕丁、五段目に嫁入り道具。
三段飾りは五人囃子までの十人と嫁入り道具、親王飾りは一段目の男雛と女雛だけのもの。
一般的には飾るスペースの関係などで親王飾りが一番人気のようですが、こちらも関東雛京雛と同じく好みで選んで問題ありません。
◆ひな人形はいつからいつまで飾る?
ひな人形を飾るのは立春(2月3日)ころが目安になっています。
祭りは3月3日なのでちょうど一ヶ月の間飾ることができるようです。
それ以外にも二十四節気の雨水(2月18日)ころに飾ると良縁に恵まれるという伝承もあり、理由は水は命の象徴であり豊穣や子孫繁栄につながるとのこと。
注意したいのは遅くとも一週間前までには飾らなくてはならないという点です。
慌てて前日の3月2日に飾るのは〈一夜飾り〉といって縁起が良くないので避けてくださいね。
逆に片付けるのはいつごろかといえば、三月中旬までの天気のいい湿気の少ない日がおすすめです。
ひな祭りが終わったらすぐに片付けないと結婚が遅くなるというような言い伝えもあるようですが心配はいりません。
こちらはきちんと片付けができるようにと願いが込められているためで、必ずしも3月4日に片付ける必要はありません。
4日よりは3月5日の啓蟄(けいちつ)の日に片付ける方が良いという言い伝えもあります。
一番は人形に湿気を残さないのがポイントです。
[4:ひな祭りの美味しい料理]
◆ちらし寿司
ちらし寿司のもとになったのは、かつてお祝いごとで提供されていた〈なれ寿司〉がだんだんと〈ばら寿司〉へと変化したものです。
ばら寿司も美味しいのですが、最終的に彩の良い《ちらし寿司》が好まれるようになったそうです。
見た目が良いだけでなく具材にも、
・エビ:腰が曲がるまで長く生きられますように
・れんこん:遠くまで見通せるように
・豆:健康でまめに働けるように
といういろいろな意味が込められています。
◆ハマグリの吸い物
なぜひな祭りにハマグリの吸い物を食べるのかというと、それはハマグリの貝の性質と合わせられています。
旬の季節であるというのも理由のひとつですが、もうひとつの理由は貝殻にあります。
ハマグリの貝がらは昔から貝合わせなどの遊びで使われており、同じ貝同士の殻しか絶対に合わないようになっているのです。
そのことから一生添い遂げる仲の良い夫婦にちなんでいるそうです。
◆ひし餅
ひな祭りで見かけるピンク・白・緑のひし形の餅のことを《ひし餅》といいます。
その名のとおり餅なのですが、モデルとなったのは植物のヒシ(菱)で、水面に広がって繁る植物です。
ヒシの形は古くから成長や
繁栄のシンボルとして親しまれており、桃の節句のひし餅には女の子の健やかな成長と豊かな人生への願いが託されています。
◆ひなあられ
ひし餅はそのままでは大きく食べにくいのが難点です。
とくに飾っておくと硬くなってしまって食べにくいので、外でも食べやすくするために砕いて食べたのが《ひなあられ》の発祥とされています。
また、関東地方ではひなあられだけでなくお米の形のままの〈ポン菓子〉も一般的に食べられています。
[5:さいごに]
毎年何気なくお祝いしていたお祭りも、ひとつずつ由来などを見ていくと新しい発見があって面白いですよね。
みなさまもぜひひな人形の種類について考えたりしながら、お祭りにちなんだ美味しい料理を楽しんでみてはいかがでしょうか?