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いまさら聞けない⁉︎ データガバナンスの基礎知識

はじめに

今回は、既に一般用語となりつつある”データガバナンス”についての基礎知識をご紹介します。
データガバナンスについて既にご存知の方も、言葉は聞いたことあるけど何をすれば良いかわからないという方も是非ご一読いただければと考えています!

データガバナンスとは何か?

データガバナンスとは、DMBOKによると以下のように記載されています。

データ資産の管理(マネジメント)に対して職務権限を通し統制(コントロール)することである。統制とは計画を立て、実行を監視し、徹底させることを指す。

DAMA-DMBOK(データマネジメント知識体系ガイド) 日経BP 2018年 P.94

つまり、データマネジメントとデータガバナンスはコインの表と裏のような存在で、これらの職務は実行側と監視側として完全に分けられる必要があります。
例えば、データマネジメントの施策としてコード統一を実施する場合、以下のような職務に分けることができます。

  • データマネジメント:
    各マスタデータに対し、適切なコード体系を設計する。

  • データガバナンス:
    設計したコード体系でコードが発番されているかを監視し、必要なら是正する。

データマネジメントとデータガバナンスの職務を分ける必要があるのは、業務を実行しながら、その業務がルール通りに行われているかまで監視するのは難しいためです。
例えば、身近な例で言うと、会社の経費申請をイメージしてください。
経費を申請する人と、その経費申請が経理のルールに則って行われているかを確認する人は分かれていると思われます。
このように分けないと、誤ったやり方で経費を申請したり、経費を悪用する人がいても気づかないといったことが起こってしまうからです。

このようにデータガバナンスとは、データマネジメントが正しく実行・維持されるよう監視・統制を行う活動です。

データガバナンス組織とは?

次に、データ資産のマネジメント(データマネジメント)に対し、ガバナンスを効かせるには、そのための組織・体制が必要となります。

データガバナンスを行うための組織とは、データマネジメントを正しく実行できるよう監視・統制を行うための組織を指します。このためにはまず、以下の3つの要素が必要です。

  • 立法:ルール(標準やポリシーなど)を作成する。

  • 行政:ルールが守られているか、監視する。

  • 司法;ルール違反があれば、何らかの処置もしくは問題解決を行う。

そしてこれらの要素が正常に機能するためには、以下のような体制が必要となります。

  • データスチュワード:
    対象領域のデータ資産に対する説明責任を持つ人。領域内のデータに何らかの問題があった場合には、任命された人が必ずその原因など説明できる必要がある。彼らが、基本的にデータガバナンスにおけるルールを作成もしくは承認する。

  • データアーキテクト:
    データスチュワードを主に技術的な面で支援をする人。データスチュワードが決めたルール(例:テーブルのネーミングルールなど)に対し、そのルールにきちんと従っているかなどをチェックする。(例:設計時はテーブルのネーミングルールに沿って必ず論理・物理名が付けられているかチェックするなど)

  • データオーナー:
    対象領域のデータおよび業務の最終責任者。対象領域のデータに関するルールや方針の最終承認を行う。
    ただし、データオーナーはデータだけでなく、業務に対しても責任を持つ役職者である。部長職の方をイメージいただけると良い。

これだけじゃない!?データガバナンスのその他要素:

データガバナンスと聞くと、上記でご説明した内容で理解されている方が多いように思われます。
しかし、実はDMBOK2を読んでいくと、データガバナンスには大きく以下3つの要素が含まれているのではと感じられます。

  1. ガバナンス:
    前述までの内容、データマネジメントを正しく実行するため、監視・統制を行う。

  2. 戦略:
    Data Strategyと呼ばれる内容。データマネジメントやガバナンスの各施策を、より全社的に取り組む内容として、優先順位づけや方向性づけを行う。(過去ブログhttps://note.com/shinfuji269/n/n239d335f427c?sub_rt=share_pwもご参照ください)

  3. リテラシー/カルチャー:
    Data LiteracyやData Cultureと呼ばれる内容。そもそも、なぜデータを資産として管理する必要があるのか?などの啓蒙活動を全社的に行う。

つまり、単純にルールを作ってそれを守らせるだけでなく、データガバナンスやマネジメントが進むべき方向性を示し、それを社内の各組織に受け入れてもらえるようなレベルまでリテラシーを引き上げるというところまでが、データガバナンスという領域には含まれていると考えています。
(本来なら2と3は、データガバナンス章とは別の章で書かれると良いのでしょうけど、、、)

実は、この2、3があまり語られることはありませんが、非常に重要な要素ですので、DMBOK2を既にお持ちの方は、この辺りも意識して読んでみると良いでしょう。
今後のブログで、ガバナンスをデプロイ(実行・展開)していくためにはどうすればいいかをまとめてみようと思っていますので、ぜひそちらもご一読ください!

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