リアルオプション
成長志向のMBA 第三日目 変革に伴うリスクにいかに戦略的に向き合うか
目代 武史 先生 20210609@zoomを受講しました。今回の講義について、自分の考えも交えながらまとめて行こうと思います。
この講座は統一テーマとして変革への視座を得るというものがあります。
その中から今回は「変革に伴うリスクにいかに戦略的に向き合うか」という内容で講義が進んでいきました。
最初に簡単なワークを行いました。
そこから変革実現のためのハードルの一つである不確実性について考え、
「不確実性を織り込みつつ、効果的に戦略的意思決定を行うためには、どうすべきか」という本質に入っていくための講義が始まりました。
まずは戦略選択におけるリスクと不確実性についてから考えていきました。
事業を行う上で投資をするか、しないかの判断基準の一つとして現在価値法があることを学びました。
現在価値法の考え方は、
まずあるプロジェクトから得られる将来のキャッシュフローを予測します。
そこからキャッシュフローをリスクないし不確実性を勘案した割引率で割り引くことによって得られます。これを正味現在価値といいます。
ここで割引率とは、将来受け取る金銭を現在価値に割り引く(換算する)時の割合を一年あたりの割合で示したもののことです。
事業を行う上で行う投資判断は、正味現在価値の合計から投資額を差し引いたものが正であれば投資をする、負であれば投資をしないというということになります。
これは簡単に言うと、投資した額よりも得られる利益のほうが大きければ投資をするというような当たり前のことです。
投資判断をするための式などもあるのですが、おおまかにいうと上記のようなことだと私は理解しました。
ここで出てきた割引率とは将来に対する不確実性、いわゆる得られる価値の振れ幅を調整するためにも使用することができます。
将来のキャッシュフロー予測が同じでも、リスク・不確実性が高いほど、割引率も高くなり、事業の採算予測も低く評価されます。
リスク・不確実性が高いものの中にもポテンシャルが大きいものもあるのですが、現在価値法で合理的に判断すると、上記の理由から投資をしないという判断になってしまいがちです。
現時点で手に入る情報で合理的に判断すると、リスクが高いが潜在的価値がある戦略への投資が却下されやすくなっていしまいがちです。
これは合理的であろうとすればリスクがとりにくくなってしまうという弱点があることになります。
そこで金融工学で用いられるオプションの価格決定理論を応用した考え方を戦略に取り込むこ見ます。リスクを抑えながらも潜在的な価値がある戦略へ投資できるような評価法としてリアルオプションというものがあります。
金融オプションとは、ある金融資産を定められた価格(行使価格)で事前に定められた日(行使期限)に買ったり売ったりする権利のことです。
この権利を購入するために必要なコストをプレミアムといいます。
具体的に株式について考えてみます。
株式を購入するかどうかの判断を現在する必要はなく現在は権利だけを購入します。
期日まで株価の動向を把握して、利益が出そうだったら権利を行使します。
損失が出そうであれば権利を行使しないという判断をすることになります。
つまり損失が出たとしてもその損失は最大でもオプションを得るためのプレミアムということになり、リスクを管理することができるようになります。
この考え方を投資戦略に取り込むと「ある実物資産に対する投資を将来のある時点で拡大もしくは縮小する権利」だと考えることができます。
これをリアルオプションといいます。
このリアルオプションは外的な不確実性が大きい時に活きてくる考え方になります。
金融オプションでいうプレミアムは実際の事業においては最低限の投資額のことです。
あるプロジェクトについてリアルオプション構造を構築することができれば、最初にプレミアムを支払うことで、プロジェクトの事業価値が上がるか下がるかを見極めてからの投資判断をすることが可能になります。
これは投資のリスクを減らすということになるでしょう。
リアルオプションの長所は
・不確実性が晴れるまで判断を待つことができること
・下振れのリスクを一定に抑えることができること
・上振れの機会を逃さないこと
になります。
これに対してリアルオプションの短所は
・不確実性が晴れるまで待たない企業に後れをとることになりかねないこと
・プレミアムの支払い分コストがかさむこと
・事業戦略との一貫性を損なう可能性があること
です。
リアルオプションを使用するにはオプション構造を技術システムや事業システムの中に織り込む必要があります。
言い換えると自分が構築するビジネス構造の中にリアルオプション構造を取り入れることができれば、投資のリスクを最低限に抑えながら利益を最大化することができるということです。
チャンスを逃さないことにもつながると考えられます。
変革に伴うリスクにいかに向き合うべきかという課題について考えます。
リアルオプション構造をビジネスに取り込むことにより、
リスクを最低限に抑えることで、積極的にリスクを取りに行くことだと考えました。
リアルオプション構造をビジネス構造の中に取り込むことにより、
変革に伴うリスクを最低限で抑えることが可能になり積極的に投資していくことが可能になる。
チャンスを逃さずに爆速な成長を期待することができるようになることだと私は考えました。
毎日の生活の中に取り入れられる方法としては、
何かをやるという判断をするときや、何かを勉強するという判断をするときに、最低限の投資で可能性を大きくさせる方法がないか一度考えてみることだと思います。
参考情報
割引率とは・意味
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12118.html
「現在価値」がわかればファイナンスが分かる
https://resonacollaborare.com/finance/18102207/
リアル・オプション
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12031.html