山のポ【毎週ショートショートnote】裏お題
おばあちゃんの家は、そこにあった。
海からは潮の香りが運ばれ、山からは土の匂いが運ばれてくる、海が見える山の中腹。
おばあちゃんの家はいろんな香りがした。
しかし、その家は今は誰も住んでいない。空き家になってからもう3年が経つ。
おばあちゃんは海と山が好きだった。
山は不便だから施設に入ろうと言っても、絶対に施設には入らないと頑固だった。
そんなおばあちゃんのことを思い出していたら、『山のポ』のことを思い出した。
『山のポ』はぼくが勝手に名前をつけた。
カタカナで『ポ』と刻んで書いてある大きな石で、その『山のポ』はおばあちゃんの家の裏にあった。
ぼくのほんとうに小さな頃の記憶なので、実際にはそんなものはないのかもしれない。
だけど、おばあちゃんのことを思い出していたら、その『山のポ』のことも思い出してきた。
「おばあちゃんの家の裏には間違いなく『山のポ』はある」
そして、ぼくはもう何も考えず、おばあちゃんの家に行く準備を始めていた。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※児童文学っぽくしてみました。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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